1 家事調停の申立 - 民事家事・生活トラブル全般 - 専門家プロファイル

村田 英幸
村田法律事務所 弁護士
東京都
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閲覧数順 2017年02月26日更新

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1 家事調停の申立

離婚請求訴訟は人事訴訟事件である(人事訴訟法2条1号)。

 家庭裁判所は、人事訴訟事件その他家庭に関する事件(別表第一に掲げる事項についての事件を除く。)について調停、審判をする(家事事件手続法244条)。

(家事調停前置主義)

 調停を行うことができる事件について訴えを提起しようとする者は、まず家庭裁判所に家事調停の申立てをしなければならない(必要的付調停。家事事件手続法257条1項、2項本文)。

 ただし、裁判所が事件を調停に付することが相当でないと認めるときは、この限りでない(家事事件手続法257条2項ただし書)。

 「家事調停に付するのが相当でない場合」として、例えば、相手方が住居所不明、国外にいる場合、離婚事件で意思能力がない場合、相手方が出頭不可能な場合(受刑者など)、事案の内容等から家事調停による解決の見通しが極めて乏しい場合などが考えられる。

2 管轄裁判所

(1)審級

 家事事件手続法で定める家事調停・家事審判事件および家庭に関する事件は、第1審が家庭裁判所である(裁判所法31条の3第1項1号)。第2審(抗告審)は高等裁判所である(裁判所法16条2号)。第3審(特別抗告、許可抗告)は、最高裁判所である(裁判所法7条2号、家事事件手続法94条1項、97条1項)。

(2)職分管轄・事物管轄

 家事調停も民事調停・民事訴訟もできる事件(例えば、不貞行為、内縁破棄、婚約不履行を理由とする慰謝料請求訴訟など)について、家事調停の場合は家庭裁判所、民事調停・民事訴訟の場合は、原則として、紛争の対象となる額が140万円以下の場合は簡易裁判所、140万円を超える場合は地方裁判所となる。簡易裁判所と地方裁判所の管轄は金額によって決まるため、事物管轄という。

 民事調停の土地管轄は、民事調停法が定める。

簡易裁判所の調停・判決・決定に対する第2審(抗告審、控訴審)は、地方裁判所である。第3審(抗告審、上告審)は高等裁判である。そして、憲法違反などの例外的に特別抗告の場合は、最高裁判所である。

 離婚請求訴訟など人事に関する訴え(人事訴訟法2条)は、民事訴訟の特例として、人事訴訟法が適用され、家庭裁判所の専属管轄である。

 なお、離婚にともなう慰謝料請求訴訟などは、離婚請求の関連請求として、家庭裁判所にも訴え提起できる。しかし、その性質は不法行為に基づく損害賠償請求(民法709条)であって、本来は通常の民事訴訟であるから、地方裁判所または簡易裁判所に管轄がある。(この点、慰謝料請求訴訟を人事訴訟と誤解している書籍が一部みられる。) ただし、家事調停に付される決定(任意的付調停。家事事件手続法274条2項)がされれば、家庭裁判所の管轄となる。

(3)土地管轄

家事調停事件は、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所、又は当事者が書面により合意で定める家庭裁判所の管轄に属する(家事事件手続法245条)。

ただし、家事調停事件を処理するために特に必要があると認めるときは、事件を管轄権を有する家庭裁判所以外の家庭裁判所に処理させることができる(家事事件手続法257条3項)。

 もっとも、離婚事件については、特例があり(家事事件手続法150条)、

夫または妻の住所地、

合意管轄、

子の親権などが問題となっている事件では、子(子が複数いる場合には、そのうちの1人)の住所地も管轄裁判所となる。

3 申立の方式

(家事調停の申立て)

第255条  家事調停の申立ては、申立書(次項及び次条において「家事調停の申立書」という。)を家庭裁判所に提出してしなければならない(家事事件手続法255条1項)。

  家事調停の申立書には、次に掲げる事項を記載しなければならない(家事事件手続法255条2項)。

  当事者及び法定代理人

  申立ての趣旨及び理由

  家事調停の申立てを不適法として却下する審判に対しては、即時抗告をすることができる。

○申立の併合

 申立の併合が明文で規定された(家事事件手続法255条4項、49条3項)。

 申立人は、二以上の事項について審判を求める場合において、これらの事項についての家事調停の手続が同種であり、これらの事項が同一の事実上及び法律上の原因に基づくときは、一の申立てにより求めることができる(家事事件手続法255条4項、49条3項)。


 家事調停の申立書が家事事件手続法255条第2項の規定に違反する場合には、裁判長は、相当の期間を定め、その期間内に不備を補正すべきことを命じなければならない。民事訴訟費用等に関する法律 の規定に従い家事調停の申立ての手数料を納付しない場合も、同様とする(家事事件手続法255条4項、49条4項)。

 申立人が不備を補正しないときは、裁判長は、命令で、家事調停の申立書を却下しなければならない(家事事件手続法255条4項、49条5項)。この却下命令に対しては、即時抗告をすることができる(家事事件手続法255条4項、49条6項)。

(申立ての変更)

 申立人は、申立ての基礎に変更がない限り、申立ての趣旨又は理由を変更することができる(家事事件手続法255条4項、50条1項)。

 申立ての趣旨又は理由の変更は、家事調停の手続の期日においてする場合を除き、書面でしなければならない(家事事件手続法255条4項、50条2項)。

 家庭裁判所は、申立ての趣旨又は理由の変更が不適法であるときは、その変更を許さない旨の裁判をしなければならない(家事事件手続法255条3項、50条3項)。

 申立ての趣旨又は理由の変更により家事調停の手続が著しく遅滞するときは、家庭裁判所は、その変更を許さない旨の裁判をすることができる(家事事件手続法255条4項、50条4項)。

○家事調停申立書の写しの送付

 家事調停の申立てがあった場合には、家庭裁判所は、申立てが不適法であるとき又は家事調停の手続の期日を経ないで第271条の規定により家事調停事件を終了させるときを除き、家事調停の申立書の写しを相手方に送付しなければならない。ただし、家事調停の手続の円滑な進行を妨げるおそれがあると認められるときは、家事調停の申立てがあったことを通知することをもって、家事調停の申立書の写しの送付に代えることができる(家事事件手続法256条1項)。

 申立人は、裁判所向けの正本と、相手方の数と同じ部数の写しを、裁判所に提出する(家事事件手続規則127条、47条)。

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