早わかり中国特許:第21回 復審請求 (第4回) - 特許・商標・著作権全般 - 専門家プロファイル

河野 英仁
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対象:特許・商標・著作権

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早わかり中国特許:第21回 復審請求 (第4回)

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早わかり中国特許

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 第21回 復審請求 (第4回)

河野特許事務所 2013年3月21日 執筆者:弁理士 河野 英仁

(月刊ザ・ローヤーズ 2013年1月号掲載)

 

3.職務発明に対する報酬

 実施細則第76条には、特許権を付与された機関または組織は、発明者または創作者と、専利法第16条に規定の奨励と対価の支払い方式および金額を約束し、または上記機関又は組織が適法に作った規定・制度において規定することができる旨規定されている。反対に、機関または組織と、発明者との間で報酬に関する規定が存在しない場合、実施細則及び条例案に定める報酬額が適用されるので、注意が必要である。

 

(1)発明者への意見徴収及び通知の義務づけ

 機関または組織は、職務発明者に与える奨励金と報酬に係る手続き、方式及び金額を確定する場合、職務発明者より意見を聴取しなければならない(条例案第20条)。また、組織は、職務発明により得られた経済効果を自ら実施し、譲渡し、または他人に実施許諾する場合、その経済効果に係る状況を発明者に通知しなくてはならない。

 

 このように、新たな条例案では、職務発明の報酬規定策定に関し発明者の意見を徴収しなければならない旨、規定された。また、職務発明を自社にて実施、他社に実施許諾等を行った場合、これらに伴う経済効果状況を発明者に通知しなければならない。

 

(2)職務発明報酬額の算定基準

 機関または組織は、報酬金額を算定する場合、各職務発明により製品又は技術による経済効果の全体に対する貢献、並びに各職務発明者によるそれぞれの職務発明に対する貢献程度などの要素を考慮しなければならない(条例案第23条)。

 

(3)約定がない場合の取り扱い

 約定がない場合、以下の取り扱いとなる。

 

(i)発明奨励金

 発明特許の報奨金は3000 元以上、一つの実用新案特許又は意匠特許の奨金は1000 元以上でなければならない(実施細則第77条)。

 また、発明特許権を取得した職務発明について、全発明者に与える奨励金の総額は、最低でも当該組織の在職従業員月間平均給与の2倍を下回ってはならず、その他の知的財産権を取得した職務発明について、全発明者に与える奨励金の総額は、最低でも当該組織の在職従業員月平均給与の2倍を下回ってはならない(条例案第21条)。

 

(ii)自社実施時の発明者報酬

 特許権の存続期間内に、発明創造の特許を実施した後、毎年当該発明または実用新案の実施により得られた利益の2%以上、当該意匠の実施により得られた利益の0.2%以上を、対価として発明者又は考案者に与えなければならない。

 

 さらに条例案では以下の案が提案されている。

全発明者に対し、下記の各号に掲げる方式の一つにより、報酬を支払わなくてはならない(条例案第22条)。

(a)知的財産権の有効期間中は、毎年発明特許権又は植物新品種権の実施に係る営業利益のうち5%を下回らずに控除するものを、その他の知的財産権の実施に係る営業利益のうち3%を下回らずに控除したものを、報酬として支払う。

(b)知的財産権の有効期間中は、毎年発明特許権又は植物新品種権の実施に係る販売収入のうち0.5%を下回らずに控除するものとし、その他の知的財産権の実施に係る販売収入のうち0.3%を下回らずに控除したものを、報酬として支払う。

(c)知的財産権の有効期間中に、上記の2項により計算した金額を参照して、発明者の個人給与の合理的倍数に応じて、毎年支払うべき報酬金額を確定する。

(d)上記の2項により計算した金額の合理的倍数を参照の上、発明者に一括して支払うべき報酬の金額を確定する。

 なお、上記の報酬累計が当該知的財産権の実施による営業利益累計額の50%を上回ってはならない。

 

(iii)譲渡時または他社実施許諾時の報酬

 特許権が付与された機関または組織が他の機関等にその特許の実施を許諾した場合、受領した実施料の10%以上を対価として発明者又は創作者に与えなければならない(実施細則第78条)。

 条例案ではさらに以下の案が提案されている。

 機関または組織がその知的財産権を譲渡し、又は他人による実施を許諾した後、その譲渡または許諾により取得した純収入から、報酬として20%を下回らずに発明者に支払わなくてはならない(条例案第20条)。

 

4.監督検査

 監督管理部門は、法により機関又は組織が職務発明制度を実行する状況に対して、監督検査を行う(条例案第34条)。監督検査を経て、機関又は組織が法により職務発明制度を確実に実行していないことを発見した場合、監督管理部門は、期限を限定してこれを是正するよう命じ、かつ警告を与えることができる。

 

以上

 

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