- 近江 清秀
- 近江清秀公認会計士税理士事務所 税理士 公認会計士
- 税理士
対象:税金
<事例>
Aさんは、弟Bの経営する株式会社Cが銀行から資金調達を
行うに当たって、保証人となっていました
Aさんは、保証人のまま死亡しました。Aさんの相続人は
長男Dのみです。
C社永年にわたり多額の債務超過に陥って
いたため業績の回復の見込みがなくなり、今年になって
解散しました。現在清算の手続き中です。
その後Aさんは亡くなりました
金融機関との交渉の結果、C社の債務5000万円については
今後1年以内に保証債務の履行としてAさんの相続人である
長男Dが返済することになりました。
さて、このような場合長男Dの相続税を計算するに当たって
保証債務5000万円を債務控除できますか?
また、長男Dが土地を売却して、その売却代金で5000万円の
保証債務を履行した場合、譲渡所得に計算に当たって
何らかの特例を適用することはできますか?
<解説>
上記事例の保証債務の債務控除については、過去のメルマガで
ご紹介しています。下記URLでご確認ください
http://www.kobesouzoku.com/menu11/#__qa_22__
『保証債務は、一般的には債務控除の対象になりません。
債務控除の要件として、『確実と認められる』債務でなければ
ならないからです。
(根拠条文:相続税法第14条)『前条の規定によりその金額を
控除すべき債務は、確実と認められるものに限る。』
しかし、例外的に保証債務でも債務控除の対象になる場合があります。
(根拠条文:相続税基本通達14-3(1)但書『ただし、主たる債務者が
弁済不能の状態にあるため、保証債務者がその債務を履行しなければ
ならない場合で、かつ、主たる債務者に求償して返還を受ける見込みが
ない場合には、主たる債務者が弁済不能の部分の金額は、当該保証
債務者の債務として控除すること。』
今回の事例の場合、C社は債務超過状態であり、かつC社は
清算手続き中であるため上記要件に該当すると考えられますので
債務控除は適用可能と考えられます
では、長男Dの譲渡所得の計算に当たって特例の適用は
できるでしょうか?
ここで相続人が保証債務を債務控除の対象にした場合において、
相続人が相続後に当該保証債務を履行するためにした
不動産の譲渡につき所得税法第64条第2項の保証債務の特例を
適用できるかどうかが問題になります。
結論は、適用可能です。
下記URLの国税庁HPで質疑応答事例集の回答をご確認ください。
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/joto/11/07.htm
根拠条文は、所得税法基本通達64-5の3です。
『被相続人の保証債務を承継した相続人が、当該保証債務を履行するために
資産を譲渡した場合には、当該資産の譲渡は、その保証債務を被相続人の
債務として相続税法第13条《債務控除》の規定の適用を受けるときであっても、
法第64条第2項に規定する「保証債務を履行するため資産の譲渡があった場合」
に該当するものとする。(昭56直資3-2、直所3-3追加)
この記事以外にも、下記URLのマイベストプロ神戸に私のコラムの
書込みをしていますのでご覧ください
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