大澤 眞知子(カナダ留学・クリティカルシンキング専門家)- コラム「大人の英語習得は子供に比べて不利ですか?」 - 専門家プロファイル

大澤 眞知子
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大人の英語習得は子供に比べて不利ですか?

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2012-04-23 15:10

「大人の英語学習」について、多くの方が疑問に思っている可能性のある質問をいただきました。
興味ある方々に読んでいただきたいという理由でコラムに回答致します。

質問 【大人になってから英会話を始めても上達には限界があると思われますか? やはりマスターするには困難でしょうか?発音だけでなく聞き取りや脳の面からも、子供に比べると圧倒的に不利ですか? いわゆる「臨界期」というものは、突き破れない壁なのでしょうか?】

言語習得におけるCritical Period (臨界期と日本語では呼ばれます)は、日本国内で英語を学ぶ日本人には(大人・子供も)適用出来ないと思います
従って、日本人の大人も子供もどちらも同じ脳の状態で(どちらが有利、不利ということはなく)英語を学べると思います。 (Sunderman, G. 2007)

脳のCritical Period が大いに関係するのは、24時間の母国語言語環境で育つ脳です。
もし、日本人の父親とアメリカ人の母親を持ち、生後6か月までに24時間両方の言語からの影響を受けた場合と、そうでない場合。
これには脳の言語部分でのCritical Period が大いに関係します。

また、こんな例もあります。

英語環境で生まれて数年後からひどい虐待を受け、親も含め周りの言語をまったく聞かず、自分も話す機会もないままの少女。 その虐待から救われたのは12~13才(科学者の推察しか出来ませんでした。 記録がないので。)。 そこから特別な言語教育を集中的に受けましたが、発声的にも文法的にも決して正確な英語を習得出来ませんでした。

そんなところから、Critical Period ということばが使われ始めました。
その少女はCritical Period (生まれて12~3才)に言語を習得する機会を失ったということです。(Bishop, D. 2004)

英語圏に移民した人たちの研究もあります。
東部ヨーロッパからアメリカに移民した人たちを世代別に調査しました。 どの世代が一番英語を習得できていたか。 (Hummel,K.M. 2007)

一番だったのは、10代、20代です。(英語圏の教育機関での訓練が効果を上げているようですね。)
次がそれより上の世代。 (実際に英語圏で生計を立てていくために必要な英語を必死で習得する必要があったからと分析されています。)
一番習得レベルが低かったのは10歳以下の子供です。 

ということで、Critical Period というのは、母国語として集中的環境で言語を習得することにはかなり影響がありますが、外国語として英語を学習する日本人(とくに日本国内で)にはほぼ関係ないと結論出来ます。

外国語を習得できるか否かを決めるのは、Critical Period ではなく、その習得法です。 年齢ではなく、習得法により、英語が理解できるよう脳を訓練することが出来るか否かが決まります。

科学的研究の結果、1960年代にヨーロッパ各国での英語教授法が大きく変わりました。(Demirezen, M. 2011)

単語を羅列して覚えたり、書いたり、訳したり、現実社会からかけ離れた例文を書きうつしたり、書き換えたり、ただ単に決まったフレーズを繰り返し、暗記したりという方法にまったく効果がないことが証明されたからです。 教室に座り、先生がレクチャーをし、生徒が黙って座っている教え方にもまったく効果がないことが証明されました。 個々の脳の学び方に沿って言語は教えるべきだと大きな方向転換をした時期です。

それ以来ヨーロッパでの英語習得法は180度変換し、Fluency (英語の考え方を深く理解し、その考えに基づいた英語言語で自分の考えを自分のことばで流暢に発言できること)が一番大切であるという形に変わりました。 Accuracy (つづりの間違い、文法の細かいミスなど)などは2の次という教授法に変わりました。 

ご存知の方も多いと思いますが、ヨーロッパの人は高校生でも、日本人の英語専門家よりはるかに流暢な英語を話します。 しかも自分の意見をよどみなく話すことが出来ます。

ヨーロッパ言語が英語に近いという理由も少しはあるかも知れませんが、1960年以降の英語教育大変換から何も学ぶことの出来ない日本の英語教育が、「日本総英語下手」の一大原因だと考えます。
従って、習得法さえ正しければ、何歳からでも英語はマスター出来ると思います。 

でも。。。何歳からって、年を取ったら脳が働かなくなるかも。。。
いえいえ、これも科学が検証しました。

学び続ける脳はPlasticity (プラスチックのように伸縮性、伸びる可能性を持っている)を保ち続けることがわかっています。 外国語の勉強を続けることで、認知症にかかる率も減ることが最近発表されているくらいです。(McClelland, J.L. et al., 2002)

長い説明になりましたが、正しい方法で英語を学ぶ限り、年齢には関係なく上達、マスターする可能性は大いにあります。
Yay!

Warning:間違っても「英会話ごっこ」(外国人の周りに座って順番が来たら何か一言答えるか、決まったフレーズを言うごっこ遊びのような英語)には期待しないでください。 これを何十年も続けて、日本人は未だに英語が出来ませんね。 そろそろ「英会話」なるものは効果がないことに気が付いた時、日本の英語教育は大きく変わると思います。

Good Luck.

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