藤森 哲也(不動産コンサルタント)- コラム「位置指定道路の注意点⑥【建築線による想定外とは】」 - 専門家プロファイル

藤森 哲也
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藤森 哲也

フジモリ テツヤ
( 不動産コンサルタント )
株式会社アドキャスト 代表取締役
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位置指定道路の注意点⑥【建築線による想定外とは】

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不動産購入の基礎知識 不動産購入塾 2012-09-09 12:46

今回が、『位置指定道路シリーズ』最後のコラムとなります。

 

 

今回は『建築線』について解説します。

 

 

 

まず、建築する為には敷地が建築基準法で定める道路に

2メートル以上接道していないといけないことは、これまでの

道路調査の注意点(建築基準法の道路とは1・2)

位置指定道路の注意点1~5で説明してきました。

 

その建築基準法という法律ですが、

施行されたのは昭和25年11月23日です。

 

しかし、建築基準法第42条1項5号道路には、

その法律ができた時よりも前の日付けのものもあります。

 

 

 

それが『建築線』です。

 

 

建築線とは建築基準法が施行される前にあった法律で、

旧市街地建築物法の第7条但書に基づいて行政官庁が

告示により指定した線(当該線から建物を突き出して建築できない線)です。

 

 

旧市街地建築物法自体は、建築基準法施行により廃止されたので、

建築線にも廃止されたものがあります。

 

 

しかし、建築線の中でも幅員(道路の幅)が4m以上のものは、

その線の位置を建築基準法第42条1項5号道路とし、

現在も引き継がれています。

 

 

つまり建築線(指定年月日が昭和25年11月23日以前のもの)は、

幅員(道路の幅)が4m以上あるということですので、現況の道路幅員が

4メートルあっても、それ以上の幅員が必要となる可能性があります。

 

 

 

 

 

画像にある道路は、現況が4.5mの道路でしたが、

昭和25年以降も引き継がれた建築線であり、

指定幅員は6メートルでした。

 

 

 

 

この道路に面する建物の建て替えや、新築をする際は、

指定された幅員の確保が必要となります。

 

 

この復元方法をしっかりと確認することが大切です。

 

 

 

この時の物件は調査の結果、本地側へ約1メートルの

後退(対面側は約0.5メートル)が必要でした。

 

 

 

画像にある駐車されている黄色の車のスペースは、本来、

道路としての利用に限られ、植木、工作物、建築物等の設置、

駐輪及び駐車並びに建築対象面積に算入することは出来ない

敷地となります。

 

 

ちなみに、本来、道路でなくてはならないスペースへの

駐車について、駐車禁止の取り締まりや車庫証明発行について

どう扱われるのか、この地域を管轄する警察書へ聞いてみたところ、

 

「現況が道路状で特に問題がない状態であれば、車庫証明はおりていたり、

取り締まりもされていないと思いますが、その現況に不自然な点があった場合、

役所に問い合わせて建築線のようなことが判明するケースも有ります。

近隣に建築線を道路状にして(駐車スペースをなくして)建築した物件などがある場合、

そこ以外に車庫証明を出すことはできず、証明がおりないケースが出てくる

可能性はあります。また、法律的には車庫証明のない所に駐車していることは

駐車違反や保管法違反として取り締まりの対象ではあります」

とのことでした。

 

 

近所の月極め駐車場の相場は2.5~3.5万円程度。

 

住宅ローンにすれば約1,000万円高いローンを

組んだのと同じ負担額です。

 

 

また、この調査対象は中古戸建ての物件で、築年数がかなり経っていましたが、

大規模なリフォームでキレイな物件にみえましたが、建て替えは早い時期に

むかえる築年数です。

その際、建築面積が減少する為、建替え時には法的(建ぺい率・容積率等)な制限で、

建築可能な建物のボリュームがかなり小さくなるものでした。

 

 

このように、道路状の確保、敷地後退については宅建業者が、

重要事項説明や契約書で説明しますが、膨大な文面の中に

『当該建築線(昭和○年○月○日:第○○号:幅員6m)の確保が必要です』

程度で、そのリスクがイメージできる説明ではないことが多いと思います。

 

 

そのような物件と不誠実な説明から、

想定外の出費・建築プランへの制限を受けないよう、

どれくい本地の敷地が道路として持っていかれるのか、

それに伴い有効宅地面積はどれだけ残るのか、

その敷地にどれだけのボリュームの建物が建築できるか、

駐車スペースやその他に考えている建物以外の空間は確保できるか

など注意が必要となります。

 

 

■道路調査の注意点【建築基準法の道路とは①】

http://profile.ne.jp/w/c-80720/

■道路調査の注意点【建築基準法の道路とは②】

http://profile.ne.jp/w/c-80721/

■位置指定道路の注意点①【位置指定道路とは】

http://profile.ne.jp/w/c-80976/

■位置指定道路の注意点②【私道であることについて】

http://profile.ne.jp/w/c-81004/

■位置指定道路の注意点③【未接道・建築不可:突き当たりの敷地について】

http://profile.ne.jp/w/c-84148/

■位置指定道路の注意点④【未接道・建築不可:指定された道路位置のズレについて】

http://profile.ne.jp/w/c-84803/

■位置指定道路の注意点⑤【未接道・建築不可:測量士の間違い】

http://profile.ne.jp/w/c-84815/

■位置指定道路の注意点⑥【建築線による想定外とは】

http://profile.ne.jp/w/c-84881/

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