藤森 哲也
フジモリ テツヤグループ
おすすめコラム
不動産業者も見落とす、物件購入の落とし穴‐【4】
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今回のコラムでも、下の画像①を見て不自然と感じる部分はないか観察してみてください。
現地での物件は高台になっており、擁壁の上に更地があります。
どうでしょう?違和感を感じとれたでしょうか?
コラム2では物件の間口上に敷地への出入りに障害物についてお話しましたが、
今回は障害となるような、電柱、標識、街灯、ガードレールなどは特にみあたりません。
答えは、物件が面する道路の端から端まで、電柱が全く無いとういことです。
不動産を購入する際の、数ある確認事項の一つに、電柱などの敷設位置というものがあります。車庫スペースの前に設置されていないか注意したり、敷地の出入りに障害となる箇所に電柱などがある場合、移設や撤去は可能かどうかも重要になります。
移設や撤去の可否については、前面道路が公道か私道かによっても出来る可能性は違ってきますし、敷地内から道路への移設か、道路から敷地内への移設なのかなどでも違ってきます。
ちなみに、電柱の所有者には東京電力とNTTがあり、
どちらの電柱かによって撤去・移設の費用が大きく変わることもあります。
だから多くの不動産業者は、重要事項説明書の記載で電柱の有無が多少気になったり、
調査で敷地の間口内に電柱や標識がないと、ちょっとひと安心していたりします。
しかし、今回の注意点としては逆のパターンです。
物件の間口内に電柱がないのに困る事例です。
生活に必要なモノは無さ過ぎることも問題です。
「邪魔な敷設物がない」で安心してしまうとことが、
今回の『不動産業者も見落とす落とし穴』となります。
今回の事例物件について調べていくと、近隣で同じ立地状況のお宅は、
東側の道路に引込みをする電線・電柱がない為、画像②のように
西側の第三者(他人宅)の上空を経由(越境)して電線を引いているそうです。
これには、その隣地所有者から上空経由の承諾がなければいけません。
購入して建築に取り掛かってから気付いても必ず取得できるものでもありません。
後に電気が通らないとなれば、トラブルや紛争に発展したり、損害やストレスが
生じる可能性は当然大きいです。
そして、その問題に気付くためには、物件のみの敷地や前面道路だけではなく、
その周辺の状況も良く観察することが大切です。
電柱・ゴミ置場のように、物件前にあらば嫌がるものでも、まったく無かったら
生活上で困るもの。
マンホール(下水道)のような生活上必要な施設だけど、景色に溶け込んでいて気付きずらいものの有無。
そういったものが周辺・前面道路にあるかどうかの確認。
また、急カーブに面している物件だったり、事故多発ポイントだったりすると、既に
あるガードレールなども邪魔なものではなく、安全上必要と思うこともあるかもしれません。
そうして、契約内容に電線の上空越境承諾書を取得条件として入れてもらえるかの
交渉や、条件が成就できなかった際の契約の取扱い(白紙解約・現状のまま引渡しなど)
を事前に決めておく。
また、上記のガードレールのような、売主は撤去するつもりでも、買主としては残しておいてほしい施設として話しをする。
そういった、自分が引渡時に整えておいてほしい状況を、根拠をもって判断し、交渉に臨むことが、将来を見越した安心安全な不動産購入とも言えます。
コラム2の逆パターンという応用編に、コラム3で話した周辺を注意深く観察することも加わって、ちょっと難しいチェックポイントだったかもしれませんが、意識しているだけでも気付けることは違ってくると思います。
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