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起業と社会保険加入

法人・ビジネス 独立開業 2007/04/06 22:57

会社を始めるにあたり正社員を採用しますが、社会保険についての質問です。 やはり社会保険加入は義務でしょうか。 実際未加入の会社は多く罰則を受けた会社もないようであいまいな部分もあり社会保険料の負担を考えると躊躇せざるをえません。 このあたりについてご意見をいただきたいと思います。

Ronyさん ( 千葉県 / 男性 / 38歳 )

回答:1件

後藤 義弘

後藤 義弘
社会保険労務士

- good

社会保険料負担を合理的に回避する方法はあります

2007/04/08 00:10 詳細リンク

Ronyさん、こんにちは。 後藤がお答えします、よろしくお願いします。

まずRonyさんがこれから始められる事業において労働力の調達手段として(派遣や請負などのフロー型雇用ではない)いわゆる従来の伝統的な「長期雇用」システムを採用される前提でお答えします。

通常Ronyさんのように ''法人'' で事業を始め、上のような従業員を雇った場合の社会保険は

''法律で加入が義務付けられています''

と言ってしまえばそれまでなのですが、法律上はどうか? 社会保険料の負担? 罰則?という視点だけでは決して充分とは言えないでしょう。

人を使って利益をあげていく事業を始める際、従業員を無権利状態に置くことが経営上のリスク を意味するというところまで踏みこんだ認識を持つ必要があると思います。

確かに昨今国家的な政策課題となっている年金財政の問題など、将来の公的保険制度そのものの在り方に不信感を持たれている方も多くこれに対する疑念ももっともなことだと思います。 しかしそうした財政基盤の問題と会社運営上の加入するしないはまた別の問題なのです。

社会保険に「加入する」場合と「加入しない」場合、従業員の保護に決定的な格差が生じます。

(1) 在職中の業務外傷病時と出産時(女性のみ)の手当支給の有無
(2) 障害・死亡時の年金額
(3) 将来(65歳以降)の年金額

上の2つは会社で働く従業員のため専用の所得補償機能です。 つまり社会保険に「加入しない」場合には従業員側からみるとこうした当然の権利が剥奪されることを意味します。 雇用の不安定、つまり生活を脅かすリスクを従業員側に負わせる構図です。 そして(3)については地裁レベルの判決とは言え

''「従業員が将来老齢厚生年金を受けることができるように配慮する義務」''
''〜 H18. 9. 5 奈良地裁 [ 豊国工業事件 ] ''

補足

と、裁判所も将来従業員が受け取る年金について私法(民事)上の請求権を正面から認めていることからも、もはや社会保険加入は、罰則があるかないかという取締りの問題とは別の次元でも会社側の ''契約上の義務'' であると位置付けられています。

目下人材市場は空前の売手市場です。 さらに今後少子化・労働力人口の減少 と中小企業にとって優秀な人材確保は死活問題となってきます。 そんな社会情勢の中、こうした格差に対し権利意識の高い求職者は敏感です。 おそらく求人情報などで求人者が長期雇用 × 社会保険未加入 の会社の求人を見たときに応募の選択肢から一番に外れることになるでしょう。

社会保険料負担は企業経営上コストに与えるインパクトは決して小さくはありません。 激化する企業間競争を勝ち抜くためにコストマネジメント上社会保険料等のコスト回避が戦略上必要になるシーンは当然でてくることになると思われます。 一方そのような企業側のニーズに対し労働市場は ''派遣・請負・短時間雇用'' など労使双方にとって柔軟かつ有効な就労形態(「流動的雇用システム」)を用意しており、社会保険料等長期雇用システムに付随するコストを合理的かつ戦略的に回避することが可能です。 人を使って事業を始めるにあたって、労働力調達ソースの戦略的な選択が必要ということになります。

自身も社会保険脱法未加入の会社から優秀な人材が流出していくシーンを目にした経験があります。 人を使って事業を営む場合、 ''労働力'' と ''事業'' の位置付けについて今一度しっかり吟味する必要があるでしょう。

【関連コラム】 ''社会保険料負担の回避''
http://profile.allabout.co.jp/pf/ysc-kaigyou/column/detail/11222

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