水の多飲は

BUNが高値を示す疾患は、幾つかありますが、多飲を伴いBUNが高いとなると、腎不全が考えられます。尿比重が1.03以下になっていますと、腎臓の再吸収機能が落ちていると考えられます。その他一般病院では、クレアチニン値、腹部超音波診断による腎長軸等から腎機能低下を判断しますが、腎機能低下がが3ヶ月以上続くと慢性腎不全と診断します。しかし早く治療を開始したほうがよりよいです。

慢性腎不全は治癒の方法がなく、進行を抑える治療を開始します。第一は低タンパク食の食餌療法。これが一番大切で、腎不全用の処方食を食べるのと食べないのでは、それ以降の寿命が大きく変わってきます。その他、ACEIなどの降圧剤、クレメジンなどの吸着剤、また活性型ビタミンDなども状況に応じて投与します。

飲水量ですが、1日あたりどの程度の水を飲んでいるか測定されたことはありますか?犬の場合はだいたい1日で体重1kgあたり100ml以上、つまりこの子の場合では1日120ml以上の水を飲む場合に異常と判断されます。まずは1日の飲水量を測定されるとよいと思います。それで異常な多飲と判断された場合ですが、犬の多飲には腎機能の低下以外にも様々な疾患が関与してくるため、それらの鑑別が必要となります。多飲の原因となる疾患には、腎疾患、ホルモン疾患、肝疾患、腫瘍性疾患、心因性のものなどがあります。これらを鑑別するには血液検査だけでは難しく、尿検査や場合によっては超音波検査やホルモン検査など特異な検査が必要となってくる場合があります。BUNの値が31mg/dlということで腎機能の低下を心配されているようですが、使用している検査機器にもよりますが、参考範囲を大きく逸脱している値ではないと思います。腎不全の診断にはその他に、クレアチニン、リン、尿検査や超音波検査などが必要となってきます。BUNの上昇だけでは腎機能が低下していると判断することはできません。他の検査結果をふまえ、かかりつけの先生と今後の診断プランを決めていかれたほうがよいかと思います。食事療法に関しても、原因となる疾患により最適な食事が異なるために、現時点では一概にどういったものがよいとお答えすることはできません。きちんと診断がついてからかかりつけの先生と相談していかれたほうがよいでしょう。