対象:住宅設計・構造
現在一戸建ての住宅を新築中です。
第一種住居地域、準防火地域木造3F建てで、現在造作に入っています。
この状況の中、隣地の方から建物から50cm離して建てなおせとと言われました。壁の芯から50cm離しているので外壁面からは38センチほどしかありませんが、民法の解釈で壁芯から50cmで進めておりました。
このことで折り合いが合わないので
建物を壊して50cm離して建て直すか、外壁を耐火構造にするしかない状況かと思われます。
耐火建築物ではなく「耐火構造の外壁」として現在の木造をいかして、安価に作る方法はありますか?
kotoriさん ( 東京都 / 女性 / 37歳 )
回答:3件
隣家は境界からどれくらい離れているのでしょうか?
大阪で設計事務所をしています。
木造で耐火構造の壁を造るというのは、現状から考えて難しいと思います。
今ある軸組を無視してその外側に鉄骨の柱梁を建て、そこにALC板を張れば
耐火構造の壁となるでしょうが、仮に施工できたとしても境界ギリギリまで
壁は迫ってしまいます。
それでは隣家の方の意図と全く違う結果にしかならないと思います。
隣家は境界からどれくらい離れているのでしょうか?もし、隣家が50cm
も離れていないのであれば、お互い様として話し合う余地があると思います。
民法は互譲の精神が尊重されますから、50cmなにがなんでも離せとは
規定していません。
回答専門家
- 福味 健治
- (大阪府 / 建築家)
- 岡田一級建築士事務所
木造住宅が得意な建築家。
建築基準法だけでは、家の健全性は担保されません。木造住宅は伝統的に勘や経験で建てらていますが、昨今の地震被害は構造計算を無視している事が大きく影響しています。弊社は木造住宅も構造計算を行って設計しています。免震住宅も手掛けています。
福味 健治が提供する商品・サービス
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文面を読んでいただいて参考にしていただければ
大変心苦しいお話ですね。心中お察しします。
さて問題の件ですが、準防火地域の木造3階建ての外壁仕様は、火事の延焼が十分加味したものということを知っておられるといいでしょう。これは住居地域だけでなく、その他の地域でも外壁はこの仕様で、住居系以外でも、隣地と50cm離さないで建てているときでもこの仕様です。防火地域で無いので耐火構造にする必要性はまずありません。ですので、今回は壁を耐火構造にするかどうか?というものは、解決方法からするとズレたものになるでしょう。
このあたりは工務店さんにも話をしてみて確認してみてください。
どちらかというと、隣家の方の感情をどのようにほぐしていくか?を中心に考えいったほうがベターだと思われます。これから長い間お付き合いもあるでしょうから、相手が一番感情的に何に反応しているか?そしてそれをどうすればほぐす事が出来るか?を時間をかけてお話されるほうが最終的にはいい方向に流れると思いますよ。
また民法系の相談所にお話されてみるのも手でしょう。
いい流れになることをお祈りしています。
八納啓造 拝¥
回答専門家
- 八納 啓造
- (建築家)
- 株式会社G proportion アーキテクツ 代表取締役
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私たちの考える家作りの大きな目的は「家族の絆や幸せが育まれること」。そこでこれまで家作りに成功した人たちの「家作りの知恵」をベースに家族が共通の思いを持ち、向き合える住まいをご提案。家族の思いをカタチにします。
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野平 史彦
建築家
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大変難しい問題ですね!?
これは大変やっかいな問題ですね?
まず、設計者がなぜ、民法の「敷地境界から外壁を50cm以上離さなければならない」ということについて初歩的なミスを犯したのか、施工者がなぜ気がつかなかったのか、そして、確認申請の時になぜ指摘されなかったのか、不思議ですが、今さらそんなことを言っても仕方ないですから、今後、問題にどう対処すべきか考えなければなりませんね?
まず、「現在造作に入っている」という段階ですと、木造3階建ての住宅はすでにもうしっかりと建ち上がっている、ということですね?
その状況の中で隣人から外壁を50cm離して建て直せ、との要求。
しかし、こうした民法234条の違反に対する隣人の要求は、建築に着手してから1年を経過した時、あるいは建築が竣工してしまった時には認められないのが通例です。それは、その時点では相手方の損害が大きくなり,社会経済的な損失が大きいと判断されるからで、今回、まだ竣工していなくても外観上はほとんど建築が建ち上がった状態であると考えられますから、隣人がこの時点で民法234条違反に対して控訴しても、棄却されるだろうと思われます。(但し、隣人から建築続行禁止の仮処分を受けていたらダメですが、、)
この場合、隣人は損害賠償請求の訴えを起こすことはできると考えられます。
外壁を耐火構造にする、というのは基準法第65条の規定でこの問題をクリアしようとのお考えと思いますが、木造軸組構造で耐火構造とする手立ては今までありませんでした(2×4工法ではすでに認定工法があります。)。
しかし、つい最近、はじめて木造軸組工法による耐火構造の大臣認定を取得した工法があります。日本木造住宅産業協会(木住協)が取得した工法で、これは木住協に加盟している会員工務店でなければ使用できないものです。
あとは、今の木造外壁の外側に鉄骨でフレームを組み(非耐力壁でも構わないので)、耐火構造の壁を造るという方法です。
補足
即ち、上記をまとめると、方法は次の3つです。
1) 隣人からの訴訟に対して、損害賠償を支払う。
2) 工務店が木住協に加盟して、木造軸組耐火構造の大臣認定仕様を使う。
3) 鉄骨で耐火構造の壁をつくる。
1) については、時間のかかることですし、新居に移り住む前から隣人ともめごとを起こしていては住みづらくなることにもなりかねませんから、あまりお勧めはしませんが、もしかすると、最も安く済む方法かもしれません。
いずれにしても、難しい問題ですので、一度、住宅問題に詳しい弁護士さんにご相談になってみた方が良いかもしれません。
ご参考まで
''失礼しました! 私の間違いです! 八納さんの回答が正解です!''
出先で書いていたので、私も勘違いしておりました。
''準耐火建築物''、又は''令136条の2の技術基準に適合する建築物(準防木3)''であればOKですね!
すいませんでした。
でも、重大事にならなくて良かったです。
(現在のポイント:-pt)
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