対象:インプラント・歯科口腔外科
先日、近所の歯医者でインプラント治療するにあたり、顎の骨が少ないため、お尻から骨を取って移植すればできると言われましたが、こう言った治療方法は本当に正しいのでしょうか?他に方法があるとすれば、どんな方法があるのでしょうか?お答えいただければ幸いです。
kaorinさん ( 神奈川県 / 女性 / 53歳 )
回答:2件
納得できる治療計画を見つけましょう。
歯がなくなると歯を支えていた歯槽骨が、垂直的(高さ)に水平的(幅)に痩せてきます。元々歯があった場所にインプラントを植立できない場合、インプラントが噛み合わせ(機能性)や見た目(審美性)的に満足できない結果となる可能性が考えられます。
そこで、理想とする場所にインプラント治療を行うために、骨造成法と呼ばれる治療法があり、骨の幅と高さを増す治療法があります。
通常、骨の自家骨(自分の体の骨)+GBR法(骨誘導再生法:膜を張ってその空間に骨をつくる)と呼ばれる治療法がスタンダードと言えます。その他、上顎ではサイナスリフト(上顎洞挙上術)やソケットリフト法と呼ばれる方法等があります。
ただし、自家骨の採取部位と採取量に制限があります。通常は、口腔内から採取しますが、腸骨(大腿部の付根の上の仙骨に扇状に広がる部位:最も骨採取が可能、ただし全身麻酔や入院必要)や、脛骨(膝の下の部位:良質な骨髄摂取が可能)も可能です。現在では、様々な骨の代替材料もあります。(骨移植と併用すると骨の石灰化度を高めると言われる。)
そのために、大事なのは診査・診断です。インプラントでは、通常の?線撮影以外にも、
? 断層撮影法
? CT (コンピュータ断層撮影)
? 歯科用コーンビームCT
等があり、様々なインプラントシミュレーションソフトウェアや、3次元画像再構築ソフトウェアを用いてより詳しい画像診断のデータを得ることが可能です。これらの画像データはナビゲーション手術や手術用テンプレート作成に応用が進んでいます。
このデータにより、外科的侵襲を極力避ける治療計画が可能となることでしょう。
自分にとって納得が出来て、安心できる治療法を選ばれてください。
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山内 浩司
歯科医師
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インプラント手術、納得されてからお始め下さいね
お尻から骨をとることは難しそうですね、チョウ骨という骨盤の骨を自家移植骨にすることはありますので、おそらく担当医さまはkaorinさまにわかりやすくと考えられてお尻とおっしゃったのではないでしょうか。
ただし、最近はこのような移植手術の例は少なくなっていると認識しています。下顎の奥歯にインプラントを植立するケースに考えれれる手術の選択肢です。下歯槽神経を損傷しない為に植立部位に骨を増やす目的ですが、外科的範囲がたいへん大きい為お身体へのダメージが懸念されます。
他の方法としましては、下歯槽神経移動術や、口腔内から採取できる範囲の自家骨と人工骨を填入して骨を増生する方法や、小さいインプラントを複数植立する方法などがとられます。また、前歯も喪失している場合にはオールオンフォーという方法で下歯槽神経を避けてインプラントを行なう方法もございます。
私見ですが、他のインプラント専門医さんにもセカンドオピニオンを求められたれいかがでしょうか。外科的侵襲のより小さい手術の選択の可能性などを踏まえ、正確に診査・診断していただくことが重要と考えます。
インプラント治療は、残存歯の保存にとっても、噛み合わせの機能回復にとっても、歯周病の咬合維持にもとてもよい歯科治療の選択肢の1つです。しかし、必ず外科処置を伴うものです。kaorinさまにおかれましても、ご自身で納得して選択できるように説明をお受けになってくださいね。
写真は、著しく骨が吸収してしまった下顎の奥歯に4本のインプラントを植立させていただいたケースのものです。
(現在のポイント:-pt)
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