対象:事業再生と承継・M&A
二社が業務提携した場合、そもそも業務提携とは、何故するのですか?提携後は、大概どんなことが起きるのでしょうか?必ずしも、合併するとか吸収合併されるとか何か続きがあるものなのでしょうか?そのうちの一社に勤務しているので、人事等で何が起きるのか、不安になり質問させて頂きました。
ザックさん ( 東京都 / 女性 / 47歳 )
回答:1件
後藤 義弘
社会保険労務士
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ご質問ありがとうございます
*''■ 業務提携の意味''
''経営戦略ツールとして''
会社がお互いの取引関係を強化し合う、あるいは業界内での競争力を高めるため技術やノウハウを共有し合うなど、経営戦略の視点から、お話の「業務提携」というツールはよく使われています。
''M&Aの序章として''
また、M&Aのシーンで、いきなりの「合併」による買収はリスクがあるため、ひとまず「業務提携」で様子をみるというケースも考えられます。 まずは資本提携と人事交流で提携先の会社から役員が送り込まれてくるというのはよくあるパターンです。
ザックさんのケースに当てはまるかどうかわかりませんが、そういう意味でお話のように、「業務提携」が「合併」に進展するケースも考えられなくもありません。
*''■ 「合併」が従業員の雇用に与える影響''
では、会社が吸収合併された際に、吸収される側の従業員の地位にどのような影響が及ぶのでしょうか?
''ひとまず雇用は確保されるが…''
例えば、いきなり今日「合併」ということになったとしても、法的には吸収される側の従業員はそのまま吸収する側の会社に引き継がれ、ひとまず雇用は確保されます。
しかし、例えば、合併の条件として人員削減などのリストラが求めら、希望退職や整理解雇といったリストラが合併前に行われることも考えられます。
''リストラや労働条件の変更など従業員の雇用が不安定になる''
また、こうしたリストラもないまま「合併」となったとしても、吸収する側の会社と吸収される側の会社では、労働条件が異なることから、「合併」により雇用が確保されたとしても、双方の労働条件の統一という人事上の作業は避けて通れません。
補足
仮に、吸収された側の会社の労働条件の方が、吸収した側の会社のそれよりも「有利」である場合は、両者の均衡を図るうえで、就業規則の変更などにより、吸収された側の会社の 労働条件が切り下げられる ことも考えられます。 (この変更が法的に有効かどうかは別の問題ですが・・・)
グループ会社間の統合であればまだしも、「買収」色の濃い吸収合併ということになると、このように合併の前後で労働条件が不利益に変更される、あるいはこれを通じて雇用が不安定になるシーンも想定されます。 (また、経営不振などで「救済」色の濃い合併であれば、救済される側の会社に雇用を確保するためのオプションはもはやないことが多く、より一層従業員の地位は不安定となりがちです。)
*''■ M&Aに対する「抵抗力」をつける''
詳しい事情をお伺いできず何とも言えませんが、昨今、会社組織の変動にかかわる法制度が大幅に規制緩和されており、いきなり今日か株主が変わる、あるいはお話のように「合併」で雇用主そのものが変わり経営方針が180度転換する、といったことが日常起こりうる時勢となっていることは確かです。
資本の原理が働き、組織で働く人にとって不利な結果を伴いがちなM&Aですが、会社によっては、会社の経営状況など変化を敏感に感じ取り、危機意識を持ったキャリア防衛のための対策が必要ではないでしょうか。
現実問題、こうしたリスクは今後どんどん高まっていくことが予想されます。 自己のキャリアの防衛と市場価値を高めるスキルアップを図り、こうした組織の変動に対する「抵抗力」をつけていかなければならない時代になっていると言えます。
一般論でのお話になってしまいましたが、ご参考になればと思います。
今後ともAll About ProFileをよろしくお願いします。
以 上
(現在のポイント:-pt)
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