対象:住宅設計・構造
新築に向けて自分なりの構想がまとまってきました。
都内の狭い土地(17坪位)なので3階建て(木造)ですが、3階部分が北側斜線の関係で半分くらいしか建てられません。そこで、2階の屋根と3階の屋根をルーフバルコニーにしようと思いました。他の家の屋根をいろいろ見ていますが、ルーフバルコニーにしている家は、ほとんどありません。
私が考えるには、都会のごみごみしたところで、ルーフバルコニーはとっても良いと思うのですが、なぜルーフバルコニーにしないのでしょうか。費用がかかるのか、メンテナンスが大変なのか、木造では無理なのか・・・
普通の屋根ではスペースがもったいないと思うのですがいかがでしょう。よろしくお願いいたします。
hanaburaさん ( 東京都 / 男性 / 46歳 )
回答:4件
施工の際は注意が必要です
hanaburaさん、はじめまして。
design studio bAOBabの鈴木と申します。
都心部の狭小宅地、住宅密集地ではルーフバルコニーを設けることはとても有効だと思います。
ただ屋根を葺く場合よりもコストがかかり、木造の場合、躯体が動きますのでしっかりと防水をしても、絶対に雨漏りをしないということは100%言い切れない部分があります。従って、特にバルコニー下に部屋がある場合は、施工の際はより注意が必要です。
また住宅保証機構などでは面積制限もされていますし、来年(10月引渡分)から始まる住宅瑕疵保証でも雨漏りの原因になる部分の保証については厳しい設定がされると思います。(来年スタートですが、今年から準備が必要です)
もう一つ、3階屋根にバルコニーを設けたい場合、バルコニーの出入口となる塔屋部分は建築面積の1/8以下の場合、高さには含まれませんが、北側斜線、日影規制などは緩和規定がないので注意が必要です。
最後にルーフバルコニーを設置する場合、少しバルコニーの手摺壁を高くすると周囲の建物が目に入らなくなり、都会の喧噪を忘れ、空が自分だけのもののように感じると思います。
ルーフバルコニーのある素敵な家ができるといいですね。
御参考いただければ幸いです。
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金属屋根の上に木造バルコニーを載せる方法もあります
hanaburaさん、こんにちは。植本計画デザイン植本と申します。
ルーフバルコニーが少ないのは、既に他の方がお答えになっているとおり、斜線や階数などの法規上の問題、コストの問題、そして木造住宅の場合は防水上の問題がやはり大きいと思います。
防水上の問題を回避する方法としては、金属屋根の上に木造バルコニーを載せるという方法があります。
有名な事例としては、吉村順三氏の軽井沢山荘の屋上バルコニーがそうなっています。
これですと防水上の問題は発生しませんが、今度はバルコニーをどう留めるかということが問題となります。壁の部分に留めたり、金属屋根が縦ハゼ葺きであればハゼの部分に金具を使って留めるようなことが良く行われます。
ご参考まで。
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森岡 篤
建築家
1
ルーフバルコニーお勧めします
hanaburaさんはじめまして
パルティータ建築工房の森岡と申します。
私も全く同感です。
私は、住宅ではプライベートな庭をつくり、庭と室内をつなげた気持ちの良い空間をつくりたいと考えています。
市街地狭小地では、地面に環境の良い庭をつくることがなかなか難しいです。(日照など)
こういう時は、バルコニーか屋上庭園です。
地上より2階、3階(屋上)の方が、外部の視線が気にならなくなり、「空」を独り占めできる快適な庭をつくることができます。
**なぜルーフバルコニーが少ないか
家をつくる建主、作り手の常識にルーフバルコニーがないのか、良さを知らないのでしょうね。
2階建てで2階屋根に出るためには、一般的な方法では塔屋が必要になり、法的に3階建てとなってしまい、2階と比べ規制がどっと増えます。
2階に広いバルコニーを取ればいいと思うのに、少ないですね。
半間巾のバルコニー(ベランダ)は、物干しにしか使えません。
巾を1間以上で部屋のようなプロポーションとし、外部からの視線をコントロールすると、とても快適な「庭」となります。
**屋上庭園の問題点・注意点
最高に気持ちの良い屋上庭園ですが、つくるにあたり、注意点もあります。
***防水
水平(に近い)で人が歩行する屋上庭園は、勾配屋根より防水が格段に難しくなります。
木造の屋上庭園の防水の有力な工法はFRP防水で、実現可能なのですが、注意深い設計・施工が必要です。
***温熱環境
真夏の太陽は高度が高くなり、屋上庭園下の居室は、暑くなりがちです。
デザイン面も含め、木製スノコなどで日射が防水面に直接当たるのを防ぎ、かつ通風させることで、暑さをやわらげることができます。
屋上庭園の植栽は、非常に効果的で、暑さを防ぐことができます。
この場合、灌水に注意が必要です。
是非素敵なルーフバルコニーを実現させて下さい。
横山 彰人
建築家
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積極的に ルーフバルコニー を作る
私は設計で斜線でセットバックしたスペースに、ルーフバルコニーを作るということもありますが、もっと積極的に設計の中に取り入れています。
近年、建物の敷地面積がだんだん狭くなり、また法的制限も厳しくなっています。そんな状況の中で、住まいの空間にいかに 拡がりと奥行き のある設計をするかは、私のテーマのひとつになっています。
その手法の一つとして積極的に取り入れているのは、開放性のある間取りばかりでなく、住まいの中に、ライトコート、やインドアガーデンといった中庭や、工夫してルーフバルコニーを取り入れ建物に拡がりと奥行きを作り出すようにしています。
お客様にとってルーフバルコニーは住まいに陰影をつくり、また室内の延長としての第二のリビングルームとして喜ばれています。
今回の質問のように斜線のセットバックのによってもたらされる長さが、私の場合2m以上でないとルーフバルコニーはあえて作らず、その部分はベランダとして植栽を植えるか、下の階の吹き抜けにしたり、工夫してその階の室内の延長としたりします。
私の設計では、ルーフバルコニーにしても小屋裏にしても、法的制限内の全ての空間を無駄なく使い切ることを心がけています。
そのことは広い意味で、地球資源の節約にもかなっているのではないかと思っています。
楽しいルーフバルコニーが出来るといいですね。 横山彰人
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