対象:新規事業・事業拡大
回答:1件
代表取締役の同一性ではなく、行為による否認の可能性があります
南十字星さん こんにちは
子会社設立に際しての税務否認に関するご質問ですね。
まず、代表取締役が同一であるということが問題になるかという点ですが、それだけを以って税務否認が行われることはありません。
ただし、ご質問のケースのような同族会社の場合、親子会社間の取引において「法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるものがあるとき」に該当すると判断されると、法人税法132条(同族会社等の行為又は計算の否認)、あるいは同132条の二(組織再編成に係る行為又は計算の否認)に基づき、その法人が行なった行為又は計算について税務当局から否認される可能性があります。
簡単に言うと、子会社と親子会社の取引や組織再編は、その金額の妥当性も含めてかなり厳しくチェックされ、社会的な妥当性を欠くと判断されれば、適正な計算に基づいて課税されるということです。
なお、質問文からは、会社自体を否認される可能性について質問されているようにも取れますので念のため回答しますと、上記のケースで否認されるのは、あくまで会社が行なった取引等の行為や会計計算が否認対象であり、会社の存在自体ではありません。
また、会社債務を逃れるための別会社設立等は、法人格を違法・不当な目的のために利用するという目的だと見做され、「法人格否認の法理」の適用により、株主等の個人が債務履行の義務を負うことになる可能性があります。
法人格否認の法理とは、法人格を持つ会社について、その形式的独立性を貫くことが正義・公平に反すると認められる場合に、特定の問題に限って法人格を否定し、会社と背後の実体(支配株主等)を同一視するという考え方です。ご質問のケースに当てはめると、法人格を濫用して租税逃れを画策したと見做し、租税徴収問題に限って法人格を否認し、背後の実態である株主個人に租税債務の支払を行わせるということが考えられます。この場合も会社自体の存在が否認されるわけではありません。
いずれにしても、税務当局の目的はあくまで適正な課税と徴収であるため、それを妨げる行為を否認しようとすると理解すれば良いと思います。
従って、ご質問のケースでは、税務当局から指摘された際に、会社を分けた方がビジネス上のメリットがあるという明確な理由と、個々の取引金額の妥当性を説明できることが重要と思われます。
分社には、例えば資本金を小さくすることによって消費税が節税できたり、法人税の軽減税率で得られるメリットもありますが、一方で設立費用や法人住民税の均等割りの負担、会社の維持管理費用(事務作業や税理士報酬等)の増加等といったデメリットもあります。
これらのメリット・デメリットも十分に鑑み、税理士等とも相談した上で別会社化を検討されることをお勧めします。
南十字星さんのご発展をお祈りいたします。
補足
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「ホットなコンサル」開催中。
詳しくは、以下のURLをクリック。
http://hotnet.sacnet.jp/htcns/
次回以降の、質問時にご利用を検討下さい。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
回答専門家
- 小松 和弘
- (東京都 / 経営コンサルタント)
- ホットネット株式会社 代表取締役
中小企業のITで困ったを解決します!
ITまわりで、中小企業の困ったは様々です。どこに連絡すれば良いのか判らず、色々な窓口に電話をかけても解決できない事が多くあります。そんな「困った」の解決窓口の一本化と、中小企業の健全なIT化を推進しています。
(現在のポイント:-pt)
このQ&Aに類似したQ&A
表示中のコンテンツに関連する専門家サービスランキング