対象:経営コンサルティング
お世話になっております。私は30代前半で自由業をしております。
早速ですが先生方に質問です。バブルのピークでの勝ち逃げはできますか?直近の例でいうと2008年の前半までに組織を守りの体制に移行することです。せめて勝ち逃げとはいわずに、バブルの最中や崩壊直前にバブルであることを認識できますか?最低でも崩壊直後に頭を切り替えることはできませんか?
現在の経営者で40代後半以降の方は、いわゆるバブル経済を経験しています。少なくとも他国のバブルも知識としては持っているはずです。「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」といいます。とすると、経験も知識も生かせずバブル崩壊に対応できなかった経営者はただの馬鹿ということになります。
そこで実際のところ、
・2007年をピークにしたバブルで勝ち逃げできた経営者
・バブルを認識していた経営者
・無自覚で対応が遅れた経営者
それぞれ何が違いを生んだのでしょう。バブルの最中にバブルを認識することはできるのでしょうか?タラレバではなく実例をご存知でしたらどうぞご教示ください。
ちなみに私は社会に出て初めてのバブルだったので、まったく気がつきませんでした。来るべき次のバブルに備えるためにどうぞよろしくお願いいたします。
Moriya, Tomoさん ( 東京都 / 男性 / 32歳 )
回答:1件

福岡 浩
経営コンサルタント
2
興味深いご質問なので、回答いたします
最初にご質問の答えを申し上げます。「勝ち逃げ」はできないでしょう。しかし、回避することは可能です。バブル経済に踊らされなければ、勝ち逃げもできませんが、バブル経済崩壊の被害も受けません。要するに真っ当な経済活動を心がけていれば、バブルでぼろ儲けもできない代わりにバブルで大損することもありません。
私は、貴殿と同じくらいの年齢の頃に1980年代後半のバブル経済崩壊を目の当たりにしています。先のバブルより崩壊後の状況は壮絶で自殺者も多かったと記憶しています。その後、日本経済は長く低迷を極めています。
日本が80年代にバブル経済に突入したのは、当時のアメリカ政府が貿易赤字削減のために為替市場に介入したことにより、円高が急激に進行しました。経済の実態以上に円の価値が上がったので、それまでドルを持っていた投機筋の連中はドルを売って円を買いあさりました。そうなれば、日本国内には余剰資金があふれ、余剰なおカネを持っている人々は土地や株、ゴルフ会員権などを買うようになります。1980年代当時は、土地の値段が下がることはない「土地神話」が浸透していましたので、金融機関はこぞってその土地や株を担保に融資していました。そうなれると、その融資されたおカネでまた土地や株を買います。このようにどんどん繰り返されて、土地や株の価格が上昇しました。しかし、これは元来実体のない経済の成長でした。ちょっとしたあるきっかけがもとで、人々は投機を引き上げて、バブルは崩壊します。当時の大蔵省の政策に不安を抱いき始めた人々が、突然に投機を引き上げた直後に、日本のバブル経済は崩壊してしました。
もしかしたら、この「最初に投機を引き上げた人々」が「勝ち逃げ」なのでしょうが、それを賢いとみるか、ずるい人間とみるか、人それそれです。また、単なる推測の域を脱しませんが、「勝ち逃げ」した人は、バブルを仕掛けた張本人であるかも知れません。
そもそも、「経済」とは、「人間の生活に必要な財貨、サービスを生産し、分配して消費する活動」と、辞書にあります。したがって、人間が中心となって営まれる活動である以上、人間の感情や置かれている状況や環境の変化で、経済が変化すると考えられます。
この先も将来的にバブル経済は起きるでしょう。しかし、そのたびに「勝ち逃げ」できるような完全マニュアルもなければ、経験値もないように私は思います。
評価・お礼

Moriya, Tomoさん
2011/03/01 23:55先生の仰るバブルに踊るというのは、企業として財テクに取り組むことでしょうか?
そうでなくてもバブルに踊っていない「人間の生活に必要な財貨、サービスを生産し、分配して消費する活動」をしている企業もダメージを貰いました。

福岡 浩
2011/03/02 09:02広い意味で「財テク」ですが、「赤信号、みんなで渡れば怖くない」という心理が働けば、競合他社が財テクしていれば、わが社もやろうということになります。
さて、「勝ち逃げ」できるかというご質問ではなく、「バブル崩壊の影響(ダメージ)を最小限に留めることができるか」という質問であれば、お答えはやや変わります。
周囲の取引会社がバブル経済に踊って財テクに勤しんでいることがわかっているなら、取引を最小限にするなど、表面的な取引に移行する必要があります。また、新規の取引相手の与信を十分に行い、負債内容を吟味することも必要です。80年代バブルの頃は、多くの企業がペーパー会社をつくって財テクしていました。事業経営は、競合他社、取引会社、顧客などと何かしらの関係性のなかで行われるので、バブル経済崩壊の影響を受けないための最善策には自ずと限界があります。
先のバブルはアメリカの住宅不動産バブルが引き金でした。返済能力以上の借金を背負った人が急増し、返済できないことが現実となってしまったから、当然、貸したおカネを回収できなくなった会社も立ち行かなくなりました。今思えば、何でそんなことに気付かなかったのか不思議でしょうが、その時は「今の状態がずっと続く」と思い込んでしまう人間の弱さがそうさせていたのでしょう。
真っ当な企業活動である「人間の生活に必要な財貨、サービスを生産し、分配して消費する活動」をしている企業がバブル崩壊の影響を最小限にするには、危ない会社と付き合わない、怪しいお客と付き合わない、ということでしょう。そのためには、与信段階で十分に精査する必要はあります。これは、バブルであるかないかにかかわらず、自社の経済活動上のリスクマネジメントの観点からも大事なことです。
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