対象:税務・確定申告
当社は外資系企業で、移転価格税制について諸本で調べましても支店が外国にあるケースの事例(特に中国)ばかりでしたので、質問させていただきます。
1.「独立企業間価格の算定方法等の確認に関する申出」は、本社が本社所在国にて提出すべきもので日本支社は関係ないのでしょうか。又、当申出書は任意のものであり、お役所から何か言われるまで、当社自ら申出なくてもよいものでしょうか。
2.「独立企業間価格の算定方法等の確認に関する申出」を提出した場合のみ、国外関連取引の内容を記載した書類と国外関連取引について法人が算定した独立企業間価額に係る書類が必要なのでしょうか。
よろしくお願いします。
Ricakoさん ( 東京都 / 女性 / 42歳 )
回答:1件
お答えします。
Ricakoさん、こんにちは。
まず移転価格税制の概略を簡単にご説明いたします。親会社と子会社のような関連者(支配関係にある外国会社)の間での利益の移転を防ぐために移転価格税制が設けられていますが、移転価格と判断された場合、国際的二重課税が発生します。
それを避けるためにそれぞれの国の当局は二重課税の排除を目的として相互協議を行い対応的調整がされますが、当局による調整結果は予測が難しく、また日本が相手国と租税条約を締結していない場合は対応的調整ではなく、法的な手続き(異議申立、審査請求、訴訟)によるほかなく、手間と費用がかかってしまいます。
この移転価格課税リスクをあらかじめ回避するために事前確認制度(APA)があり、一当事者とその所在する国の当局のみで行うユニラテラルAPAと、当事者双方がそれぞれの国の当局と行うバイラテラルAPAがありますが、日本の事前確認制度は「行政指導」としての事前確認にとどまり、後で更生処分等の所得再計算が行われることもあるようです。
これらを踏まえると以下のような回答になります。
1.ユニラテラルAPAを本社所在国でする場合は日本支社では関係ないですが、ユニラテラルAPAを日本で申出する場合とバイラテラルAPAの場合は、日本支社でも申出する必要があります。「独立企業間価格の算定方法等の確認に関する申出」は、移転価格課税リスクを回避するための任意の対策なので、必須ではないことになります。ただし、後で税務当局により移転価格と判断された場合は、二重課税の対応的調整の手間が掛かるというリスク、また納得しにくい移転価格となるリスクもあります。
(補足に続きます。)
補足
2.移転価格税制につきましては税制が改正され必要な書類が変わりましたが、これは事前確認をする申出をする場合のみ必要となるものです。申出をしない場合必要ありません。
ただし、移転価格税制が改正されてあまり時間が経っていないことと、移転価格税制に対して戦略的にアプローチする大手コンサル会社も見られることから、申出の方法によっては利益に大きく影響を及ぼす可能性があるので、件数をこなしている税理士に相談されたほうが、より正確な回答が得られるかもしれません。
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- 小松 和弘
- (東京都 / 経営コンサルタント)
- ホットネット株式会社 代表取締役
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