対象:住宅設計・構造
森岡 篤
建築家
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「耐久性」と「耐震性」
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コバキョンさんこんにちは
パルティータ建築工房の森岡と申します。
「''耐久性''」と「''耐震性''」は、別の概念です。
「耐震性が高いから耐久性がある」わけではなく、場合によっては「耐震性は高いが耐久性は劣る」ということが(逆も)あり得ます。
**耐久性
鉄筋コンクリート(RC)造の方が、木造より耐久性があると思われる事が多いようですが、必ずしもそうではありません。
RCは、コンクリートの弱点を鉄筋が補い、高い強度を発揮します。
コンクリートの強アルカリ性により、鉄筋の錆を防ぎますが、経年変化で表面からアルカリが弱くなります(中性化)。
中性化してもコンクリート強度が急に落ちるわけでないのですが、鉄筋の錆が発生すると問題を起こします。
鉄筋コンクリートの耐久性は、コンクリート品質や、仕上がコンクリートを保護できるかどうかにより、大幅に変わります。
木材(杉や桧)の強度は、200〜300年まで上がり続けると言われ、材料自体の耐久性は、RC以上にあります。
木材の弱点は、シロアリ、腐朽に弱いことで、被害を受けないような設計が必要です。
どの構造でも、60年程度の耐久性を持たせることは可能であり、むしろないのはおかしいのです。(欧米では100年以上の建物があたりまえ)
住宅が「''長持ち''」するかどうかは、耐久性ではなく、''生活の変化に家が対応できるかどうか''で決まります。
補足
**耐震性
同様に、RCの方が、木造より耐震性が高いと思われることが多いですが、そうとも言えません。
木造でも、高い耐震性の家をつくることは可能です。
しかし、制度上の問題もあり、木造の方が構造的問題がある建物が多いと考えています。
もちろん、RC造で高い耐震性の家をつくることも可能です。
高い耐震設計(等級3)にすれば、耐震性能は上がるのですが、「''どんな巨大地震でも絶対に被害に遭わない'」建物をつくるのはなかなか難しいです。
地震被害地に行くと、地盤が破壊している事が少なくなく、設計的に対応できないからです。
私のサイトでも取り上げていますので、よろしければご覧下さい。
詳細なパンフレットも用意しています。
パルティータ建築工房サイトはこちら
東京都中野区の建築設計事務所 注文住宅/二世帯住宅/リフォーム
住宅の疑問にこたえる、「住宅こたえるね!ット」はこちら
評価・お礼
コバキョン さん
ご回答どうもありがとうございます。
まさに、「納得できる家」を建てられるかどうかが、不安要素でしたので、はっきりとおっしゃってくれてすっきりしました。設計事務所など、専門家の方と納得いく相談をしながら、理解を高めて家作りをすることが良さそうですね。
気に入った設計事務所を見つける努力もしたいと思います。
どうもありがとうございました。
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この回答の相談
新築戸建て住宅を検討しています。
家への要望は、60年間(死ぬまで)大掛かりな躯体のメンテナンスをしなくても大地震による倒壊の心配が無い家です。(60年間、耐震等級3以上の… [続きを読む]
コバキョンさん (千葉県/31歳/女性)
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