対象:労働問題・仕事の法律
本田 和盛
経営コンサルタント
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従業員に対する損害賠償請求
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凄腕社労士 本田和盛です。
従業員が過失により業務上の損害を会社に与えた場合に、会社は損害賠償請求をすることが可能です。しかし無制限にすることはできず、合理的な範囲にとどまります。その範囲は損害の公平な分担という見地から信義則上相当と認められる限度に限られます。判例上もそのような取り扱いとなっています。
会社は業務遂行を通じて大きな利益を得ているのであり、損をしたときだけ労働者に損害を転嫁することは難しいです。
融資を担当している銀行員が、取引先の倒産によって焦げ付いた資金を、自己負担させられることがないのと同様に、振込みで過払いを発生させることも、通常想定されるミス(リスク)を超えるものではないので、基本的には労働者が負担する必要はない(ミスの態様や程度、ミスの頻度にもよりますが)と思います。
会社としては損害発生のリスクを低減する措置を講じておくべきで、その責任を労働者に一方的に押し付けることは信義則上、難しいと思います。今回は多段階の承認によってリスクが分散されていると考えられ、そのリスク分散によっても、事故が発生してしまったのですから、残余のリスクによって損失を発生させてしまった場合は、最終的な責任主体である会社が負担すべきでしょう。
相談者はミスをした当事者ではないので、連帯責任で負担させられる筋合いは、当初からありません。
ミスをした人、そのミスを見抜けなかった上司は、懲戒規定によって処分されることはありえます。また勤務評定において不利益に取り扱われることもありえます。しかし懲戒処分と損害賠償請求は別次元であり、今回のようなケースであれば、懲戒処分とマイナス査定で対応すべきと考えます。
評価・お礼
深い悩み さん
回答ありがとうございました。
事例もわかりやすく、心強く会議に臨むことができました。
幸い、理事の方の中にも、先生の回答に沿った形の話をしてくださる方もいらっしゃって、処分については行わないとの結論になりました。
今回の事柄は、当団体の事務局長による、パワハラのような感じがします。天下りで来た当初に「俺は偉いんだ、言うことを聞くように」って宣言するような方で、就業規則の変更や、手当ての削減などを一方的に実施した(一応理事長の承認はとっていますが)など、労使交渉もなく独善的に物事を進めるタイプです。
残念な上司が来てしまったとあきらめていますが、先生のアドバイスを得て、今後も戦って(本当は仕事に力を入れたいのですが)まいります。
本当にありがとうございました。
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この回答の相談
私は、社団法人に勤務しております。同僚の過失により発生した損害について、共同責任ということで負担するように求められたので、ご相談いたします。
組織の構成としては、団体の理事長及び理事… [続きを読む]
深い悩みさん (北海道/45歳/男性)
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