対象:刑事事件・犯罪
回答数: 1件
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大塚 隆治
弁護士
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成人事件と比較すると
返信が遅くなり申し訳ありませんでした。
さて、ご相談の件はなかなか難しい問題だと思います。というのは、もしこれが20歳以上の成人だとすると、ごく普通の捜査が行われたにすぎないからです。問題は、犯人とされたのが14歳の少年だということです。刑法上、14歳以上は責任を負わなければならない年齢とされていますが、20歳未満の場合は少年法が適用されることになります。ただ万引き、つまり窃盗事件などの刑事事件について、少年法は手続的なものを定めるだけで、捜査の方法などいついては、少年法40条が「少年の刑事事件については、この法律で定めるものの外、一般の例による。」と定めているので、成人の刑事事件の捜査の方法と同じになります。これを杓子定規に考えると、今回の警察の取った手法は、通常の成人の刑事事件の手法と同じであり、責任はないということになると思います。
確かに警察にもっと配慮してほしかったと私も思います。少年法も「少年の健全な育成を期し」ということを目的としていますし、警察内部の規則でも、少年警察活動については、成人の場合と異なり、いろいろと配慮するようにという内容になっているからです。しかし、前記少年法40条が存在しますので、警察が法的に責任を負う程度の違法性があったとまでは、なかなかいうことは難しいと思います。
補足
今後のことについては、警察の捜査記録が検察庁に送致され、それから家庭裁判所に送致されて処分が決まるということになります。家裁に送致されると場合によっては少年鑑別所で調査を受けることになりますが、本件ではないでしょう。そして、家裁の処分には、重い順に少年院(あるいは児童自立支援施設等)送致、保護観察を付ける、審判を開始して処分しないとの結論をだす、審判自体を開始しないという4種類があります。本件では、結論としては不処分あるいは審判不開始になると思います。もし家庭環境が良好ではないという事情があったりすると、家裁から呼出があるかもしれません
最後に前科・前歴ですが、前科とは刑事裁判を受けたということですが、少年の場合は、重大事件でない限り、裁判にはなりませんので、本件でも前科がつくことはありません。しかし、前歴は、警察で立件して事件として扱われたということですので、前歴は残ることになります。ただし、前歴が捜査関係者以外に公開されることはありませんので、進学、就職などで問題になることはありません。
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