役員退職金の分割払い
平成18年4月1日以後に開始する事業年度において、法人が支給する役員退職金で適正な額のものは、損金の額に算入されます。その退職金の損金算入時期は、原則として、株主総会の決議等によって退職金の額が具体的に確定した日の属する事業年度となりますが、法人が退職金を実際に支払った事業年度において、損金経理をした場合は、その支払った事業年度において損金の額に算入することも認められます(法基通9-2-28)。
資金繰り等の都合で役員退職金を分割払いする場合は、原則どおりに株主総会の決議等のあった日の属する事業年度に支払った額のみ損金経理し、残額は実際に支払った事業年度に損金経理することによりその支払った事業年度の損金の額に算入することもできます。
この場合は、退職金を実際に支払った事業年度において、損金経理をした金額がP/Lに計上され、B/Sには未払退職金は計上されません。
分割の期間について、税法上は何ら規定はありませんので、期間が長いからといって損金算入が否認されることはないですが、分割の期間や支払い金額、支払い方法については、常識的な方法で計画的に支払い、利益操作などの余計な誤解が生じないようにしておきましょう。
なお、退職一時金が長期間の分割払いとなる場合、退職年金とみなされる可能性があります。税法ではその基準を明らかにしていませんが、10年の分割とすると実質的に退職年金とかわらないため、あまり長期にならないように、2〜3年以内での分割払いが実務上妥当ではないでしょうか。
※退職金の受給者については、退職一時金は「退職所得」、退職年金は「雑所得」となり、一般的には「退職所得」の方が、納税額が少なくなります。分割の退職一時金が退職年金と取り扱われないように支給方法については注意しておく必要があります。
回答専門家
- 佐々木 保幸
- ( 京都府 / 税理士 )
- 税理士法人 洛 代表
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この回答の相談
役員退職慰労金を分割で支払うことを検討しています。分割で支払った場合は、(株主総会決議時ではなく)支払った期に損金に算入することも可能であることまでは分かったのですが、その場合、株主… [続きを読む]
scottieさん (愛知県/28歳/男性)
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