対象:住宅設計・構造
野平 史彦
建築家
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木造住宅の基本
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屋根なやむ様
木造住宅だと認識してお答えします。
日本の,特に関東以西の木造住宅の基本は、''湿気を溜めないこと''にあります。
日本の木造技術は、この''湿気''に対処するために発達してきた技術であるとも言えます。
それは高断熱・高気密住宅でも同じです。
外壁通気工法は、透湿性の乏しい石油化学系の外壁材が使われる様になってから、室内で発生した水蒸気の逃げ道がなくなり、壁内結露を起こしてしまう、という問題に対処するために、''水蒸気の逃げ道として生まれたもの''ですが、この外壁通気層はそのまま屋根の通気層に繋がり、屋根の頂部、即ち、''棟換気''によってやっと水蒸気を外に放出することができます。
通気層は、土台水切り部や軒天から給気し、日中熱せられた空気が上昇する、温度差換気の要領で自然に気流を起こし、そこに室内で発生した水蒸気を放出し、その気流に乗せて外部に放出する、という仕組みです。
外壁も同じですが、屋根の通気層については、水蒸気と共に、特に''熱を溜めない''という役割があります。夏場の屋根面は相当な高温(70℃くらい)になります。その下の通気層が閉じていると、熱はそのまま断熱材に伝わってゆきます。
断熱材というのは、''熱伝導遅延素材''です。
ですから、時間が経てば熱は伝わってゆくのです。
それを防ぐには、できるだけ大きな通気層を設け、頂部で効率よく熱気を排出しなければなりません。
これからできるか分かりませんが、通気層を外壁から屋根へ連続させ、きちんと棟換気をつけることです。
それができなければ、対処療法としては、天井面に新たに断熱材を施工し、あまり懐のない小屋裏で換気をしましょう。(小屋裏妻面両側にベントキャップなどをつける)
大学の建築教育では、殆ど木造を学ぶことがないので、木造住宅の基本を知らない設計者は非常に多いのです。
評価・お礼
屋根なやむ さん
いろいろ詳しく説明ありがとうございます。
グラスウールは450mm巾でした。
そして通気胴縁t28ではなく16mmでした。
外壁はほとんど終わっています。
内側からグラスウールが膨張するのを防ぐしかないかもしれません。
設計士を信頼していただけに悲しい気持ちです。
施工者は設計士のお勧めのところでした。
価格が安いので選びましたが・・・残念です。
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この回答の相談
関東地方の、夏はわりと暑い地域で、現在注文住宅を建築中の施主です。
屋根の断熱に関する設計に不安があり質問させて頂きました。
陸屋根に近いくらいの切り妻屋根 勾配3/100 天井はフラット 天井裏… [続きを読む]
屋根なやむさん
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