対象:住宅設計・構造
森岡 篤
建築家
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住宅完成保証制度の利用
まこマコさんこんにちは
パルティータ建築工房の森岡です。
私の事務所で設計し、監理中(工事中)、あるいは竣工引渡以降に、工事した工務店が倒産したことは、まだないのですが、設計が完成し、複数の工務店に見積合わせをすることが決まり、ある1社に図渡しをする時に、「実は、当社は倒産したので、受けられません」という際どい体験があります。
本命と思っていた会社だけに、数ヶ月タイミングがずれていたら、大変なことになっていました。
私の廻りの設計者で、正に工事中に倒産した事例も見ています。
工務店は、工事契約を締結して工事するのですから、工事中に倒産した場合でも、完成する義務があるのですが、一般的には、多くの負債をかかえて倒産するので、事実上工事を完成することも、支払った金額を返済することもできなくなることが少なくありません。
倒産した時点で、工事の進捗(どこまでできたか:出来高)より多く支払っていた場合、(支払額-出来高)の額を建主は損失を被ることになります。
このような事態を防ぐために、住宅完成保証制度という保険制度があり、損失した差額を保証したり、継続して工事する会社をあっせんします。
住宅保証機構を始め、民間を含め、いくつかの団体で行っています。
完成保証制度を受けるためには、財務状況等を機関に提出し、登録された工務店でなければなりません。
支払い方法等の規定があり、必ずしも全額補填されるわけでないので、規定をよく理解する必要があります。
工事後、10年間の構造体、雨漏りを保証する、住宅性能保証制度もあります。
補足
◆ 支払い方法
工事中の工務店倒産に遭わないためには、経営のしっかりした工務店を選ぶことが第一ですが、判断することは易しくありません。
倒産での損失額は、支払い方法に大きく影響されます。
従来から、契約時:総額の1/3、上棟時:1/3、完成時:1/3、という支払い方法があります。
この支払い方法は、著しく工務店に有利で、一時的に過払い(払い過ぎ)となります。
契約時はまだ何もできていないのに、1/3も払うわけです。
上棟時は、現場は構造体(仮組)で、1/3すらできていず、総額の半額近くが払い過ぎです。
この時倒産されたら、最悪の事態となります。
私の事務所では、できるだけ完成保証制度を利用してもらいますが、保証制度には費用がかかります。
工事経験があり、信頼性の高い工務店で、完成保証制度を使わない場合は、出来高払い方式を使います。
出来高払いというのは、工事をいくつかの段階に区切り、ある段階まで現場で完成したら、その分(出来高)支払う、という方式です。
万一、工事中に倒産したとしても、過払いがないので、建主の損失を最小限におさえることができます。
工務店にとっても、工事を直接行う専門業者には、各工事が完成してから支払うので、負担になるわけではありません。
良心的な工務店は、ほとんど出来高払いを受け入れてくれます
参考にしていただけたら、幸です。
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この回答の相談
サブプライム問題の影響で、
不動産関連の倒産が急激に増加しています。
現在、住宅の建設を検討している会社も
大きな企業ではないので、心配です。
そこで、質問なのですが、住宅の工事中に建設… [続きを読む]
まこマコさん (東京都/33歳/女性)
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