対象:独立開業
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後藤 義弘
社会保険労務士
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「個人事業」なら年金は減額されません
turisaさん、こんにちは。
お話からはturisaさんのお父様は今年平成19年5月に60歳になられて退職されるということで、
''昭和22年4月2日以降''
のお生まれで、かつ60歳より年金を受けるための条件である「国民年金」の保険料を納めた期間が25年以上あるという前提で回答させていただきます。
現行の公的年金制度では、お父様の生年月日でいくと、60歳になられて退職されるこの5月に老齢厚生年金の受給権が発生し、(裁定)請求を経て年金支給が開始されますが、以下の通り
・ 60歳から63歳まで … 「一部」 (お話では「約8万円」)
・ 64歳から(H23.5〜) … 「満額」
・ 65歳から … 「 〃 」+α (新制度へ切替え)
という三段階のプロセスを経て支給されます。
そこでご質問の年金受給開始後、お給料をもらった場合の年金受給額への(減額)影響についてですが、お父様が退職されてturisaさんと始められるお店の運営形態が (1)個人事業 (2)法人 の別により変わってきます。 まず
''(1) 個人事業''
で、お父様が事業主になられて運営されるケースですが、この場合(個人事業では事業主の「給与」という概念がないため)''事業所得がいくらあっても年金は減額されず受給額に全く影響はありません''。
''(2) 法人''
の場合少し注意が必要になってきます。
例えば、お父様が代表者となり ''会社から役員報酬をとる'' というケースです。 この場合、会社は社会保険の適用を受ける事業所となり社会保険に加入、お父様は代表者でありかつその会社に使用される従業員としての身分の両方を持つこととなり
''厚生年金の被保険者''
となります。(最長70歳まで継続) つまり年金の減額調整の対象となる要件は
''厚生年金の被保険者となり、会社からお給料をもらう'' 場合です。
補足
しかし、そのお給料(役員報酬)の額も一定額を超えなければ減額はありません。年金が支給される月ごと下記(A)〜(C)の額をそれぞれ公式に当てはめ
(A) その月以前1年間に受けたボーナスの額の合計額(標準賞与額)を12で割った額
(B) 役員報酬の額 (正しくは ''標準報酬月額'' ↓)
http://www.sia.go.jp/seido/iryo/ryogaku1803/ryogaku01.pdf )
(C) 毎月の年金額 [ 年金額÷12 ]
''{ (A)+(B) } + (C) ≦ 28万円''
の通り、足して ''28万円を超えなければ年金の減額はありません''。 (これを超えると一定の計算式で年金が減額されますが、公式がやや複雑なのでここでは省略します。 あとこの「28万円」という額も法律の改正により変動の可能性もあります)
このように ''個人事業'' か ''法人'' かで年金額への影響が変わってくるわけですが、いずれの運営形態を選ぶかは、売上見通しを含めた事業計画や将来的なビジョンいかんで、今回検証した年金額の問題だけで決めてよいものかは疑問です。 もちろんお父様の貴重な年金受給の確保も重要な視点ですが、お父様の退職後のライフプランと第二の職業生活、将来的なturisaさんへの事業承継、税務面でのメリット・デメリット等諸事情を総合考慮してうえで判断されることをお勧めします。 ''(下記関連コラムで具体例としてシミュレーションを掲載していますのでご参照ください。)''
【関連コラム】
http://profile.allabout.co.jp/pf/ysc-kaigyou/column/detail/7703
http://profile.allabout.co.jp/pf/ysc-kaigyou/column/detail/7704
http://profile.allabout.co.jp/pf/ysc-kaigyou/column/detail/7707
http://profile.allabout.co.jp/pf/ysc-kaigyou/column/detail/7710
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