対象:新築工事・施工
島崎 義治
建築家
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設計者と施工者の能力、クライアントの温かい見守りが必要です
見たことも考えたこともない方々は大変不安になるものですが、いくつか実施例があると思いますよ。かなり、素晴らしい仕上がりになると思いますのであなたが気に入ってしまわれる理由も十分理解できます。
ただ、設計者と施工者にそれに取り組み実現させる能力があるかどうか、が一番のポイントではないでしょうか。また、フレキシブルボード自体は安い材料ですが手間がかかりますのでそれなりの費用をかけることも必要と思います。
しかも、もう上棟していてこれから外壁のことを考えるとなると、時間が足りないような気もします。工事を中断してでもじっくり取り組む必要があると思います。
いくつか思いつく留意点を考えてみます。私はフレキシブルボードの下見板張りは経験したことはありませんが、同じような素材でカラ―ベストコロニアルを外壁に使おうとしたことがあります。
1.フレキシブルボードの魅力はそのウォームグレーの柔らかなコンクリートのような肌なのでしょうから、それを活かすクリアの塗装、もちろん外部仕様の耐候性のある塗装を選定することが必要です。
2.コーナーの合わせ目のディテールを綺麗に合わせないとやる意味はないのでこの点が大変難しいと思います。シーリングにより処理することは難しいと思いますので、金物で見えないように処理し、オープンジョイントで進めることになるように思います。同じように窓枠等との収まりも大変難しくなると思います。
3.フレキシブルボードはサイズが900×1800程度ですからそれを下見板のように張るには重なりの部分が大きくなりますが、材料が暴れないように抑える工夫が必要かもしれません。微妙なすき間だと雨水が浸透圧で逆流することも考えられます。
また、ボードの重なりが大きいということはかなり重くなりますので、重量的なチェックが必要になるかもしれません。
4.木の下見板であれば、釘穴部分は雨水が浸透することはないと思いますが、硬いフレキシブルボードの場合は融通がきかなくて釘の周りがすき間の空いた状態になるように思います。この部分の防水処理を気をつける必要があります。木の下見板なら注意する必要はないのですが、、、、。
5.うまく実現できれば、大変素晴らしいデザインとなると思いますが、性能的にはフレキシブルボード+ペンキですので世の中の最低の仕様ということはお忘れなく、、、。ただ、コンクリート打ち放しというデザインもかなり低い仕様であることを考えると、メンテナンスに十分に注意をしていただければ可能性はあるものと思います。
駅の事例はなにも考えずに安いだけでフレキシブルボードを使っているだけですから、あまり参考にはならないかもしれません。
ご参考になれば幸いです。
ぜひ、頑張ってください。
島崎義治
島崎義治建築設計事務所代表取締役/人間環境大学教授
2012、13グッドデザイン賞受賞
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この回答の相談
現在、新築で家を建てています。先週上棟したのですが、この後、外壁材を決めるタイミングです。
下見張りの雰囲気が気に入っているのですが、材料としてフレキシブルボードはど… [続きを読む]
max177さん (東京都/45歳/男性)
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