不動産仮差押の申立を検討してください。

愛知県弁護士会所属の弁護士木本寛http://kimoto-law.com/が回答します。
まず伯母様の不動産の登記簿を確認し、その不動産に抵当権設定登記などがついて
いないかどうか確認して下さい。登記簿の記載事項はどこの法務局でも手数料６００
円を支払って登記事項証明書を取寄せることができます。

次に、登記簿に抵当権設定登記などがなかったら、不動産仮差押の申立を検討しまし
よう。

不動産仮差押の申立を検討する理由は、伯母様の唯一の財産が不動産のようですから
不動産が売却されてしまえば、回収は困難となってしまうからです。売却される前に
保全する必要があります。

不動産仮差押の申立では、裁判所が債務者から事情を聞かずにいきなり仮差押決定を
発令してくれます。ただし、相当額（通常は債権額の３割程度）の保証金を供託する
必要があります。

保証金を供託したうえで、裁判所が債務者に対し仮差押決定を発令すると、仮差押登
記が裁判所から嘱託され、伯母様の不動産にあなたの住所名前が、仮差押権者として
記載されます。

そうなれば仮差押権者であるあなたは債権を回収するまで仮差押登記を保存すること
ができます。

仮差押登記ができたら伯母様を相手に交渉をすることも、民事訴訟を提起することも、
できますが、債権を回収するまであなたの仮差押登記は保存され、他の債権者が伯母
様の不動産に差押などをしてきても原則として仮差押権者の権利は保護されます。

このように仮差押の申立は効果的な方法ですが、債権があることの疎明（おおよその
証明）が必要となりますので、是非申立は弁護士等に相談して行って下さい。

仮差押の手続後、交渉してもお金を返済してもらえない場合、着服されたお金の返還
を求める訴訟提起をして回収することになります。本件の場合、不法行為による損害
賠償請求ですから、債務者側から消滅時効の主張をされないように、時効中断の主張
もしなくてはならない事例のようですので、この場合も是非弁護士等に相談して下さ
い。

訴訟を提起して判決を取得しても債権回収ができない場合、最終的には伯母様の不動
産の強制競売の申立をし、伯母様の不動産を裁判所で競売してもらい、配当金を裁判
所から受けることにより債権の回収が出来ることになります。
従って、仮差押申立は強制競売のための保全手続といえます。

要するに究極的な債権回収方法の一つとして、債務者の不動産を強制的に競売しても
らうという回収方法があるということです。