対象:遺産相続
井本 須美尾
司法書士
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すべての特別受益の調査は難しい
相続に関する紛争は難しいものがあります。
ご相談者様のご不満・苛立ちも察するものがあります。
要点をできるだけ簡潔に述べます。
伯父・叔父の表記のゆれがありますが、同一人物としてお答えいたします。
1について
「すべての特別受益」を特定することはまず不可能だと考えられます。
比較的大きな買い物であれば、その購入代金がご祖父の財産から支出されたことを
主張することはできますが、証明は難しいでしょう。
細かい援助を含めてしまえば、それをすべて把握・証明することはほぼ不可能で、
疎明(証明より一段落ちる)することすら難しいでしょう。
2について
遺言が「公正証書」で作成されていることから、これを覆して無効にすることは、
かなり難しいといわざるを得ません。
(自署がないこと、意思の存否が不確定なところで、効力否定の余地がないわけではありませんが)
公正証書遺言は、公証人と呼ばれる元判事や検事といった専門家が本人・第三者である証人2名
とともに作成した「公正証書遺言」は現在の日本ではもっとも信憑性が高い遺言の方式として定着
しています。
そして、この遺言作成の席に叔父さんは立ち会うことはできません。
3について
ご祖母様の認知症であれば法定後見制度を利用するというのが考えられます。
しかし、本来はご家族でそういったことをするのが本来で、
後見制度を利用しなければならないということではありません。
ただ、親族間で争いがある場合は難しくなってくるので、そういった制度を設けたわけです。
また、後見制度で後見人等が管理できるのはご祖母様の財産のみで、
現在伯父様名義になっている財産は管理できません。
伯父様が相続した財産に対しては「遺留分減殺請求」をすることが考えられます。
これは、遺留分の減殺(相続財産から相続人が受けることができる取り分)を請求できる
財産があることを知ったときから1年間の間に請求をしなければなりません。
この「知ったとき」を証明するのが難しいので、少しでも早めに動いた方が良いでしょう。
補足
もし、遺言作成にご不審な点があるのであれば、
公証人役場にその調査をなさってみてはいかがでしょうか?
被相続人の死亡した証明(除籍謄本など)及びご相談者の利害関係人(除籍・戸籍謄本など)であることの証明書などがあれば、公証人役場で調査ができます。
(現在のポイント:2pt)
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