対象:遺産相続
松野 絵里子
弁護士
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遺産分割と取引経過の開示請求権などの問題
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財産の調査
お考えのとおり、遺産分割では相続財産の全容をつかむのが重大な仕事となります。
預金がなかったか、有価証券がなかったか、不動産はなにがあったのかなどです。相手が出してきたもので全てであるのかは、まず疑うべきです。調査会社を利用するなどいろいろな方法で調べつつ相手の開示をうながしていくべきです。
ですから、相手が税理士作成の書類を出してもこれで全部ではないのではないかということは十分考えるべきですし、預貯金については、相続の場合には、弁護士照会で金融機関に照会することができるでしょう。照会しても開示を銀行等が拒否するとこまるのですが、平成21年に最高裁の判例で、預金者が死亡した場合、金融機関は共同相続人のうちの1人の請求にたいして原則として取引の経過を開示すべきであるとする判決が出ており、開示請求はしやすくなっています。
ただ、どこの支店に口座があったかがわからないと請求ができないなどの問題はあります。
財産開示のいろいろな方法を検討していないのであれば、今の弁護士さんの対応には問題があるのかもしれませんね。ただ、調査にはお金もかかるので、そのあたりを総合的に考えてのことなのかもしれませんし、しっかりお話されると良いでしょう。
弁護士の利益相反
相手方を単に知っているだけでは、特に本件について受任できないことにはなりません。
ただ、貴殿が信頼できないのなら弁護士を変えることは検討されてもよいでしょう。知っている相手でもプロは本来やるべきことを淡々とやれるはずですが・・・・。弁護士と依頼者の信頼関係が構築できないとうまく事件を進められませんので、ここは重要な問題ですね。
相続欠格について
民法でその理由がはっきり決まっているので、このような事案ではあてはまらないでしょう。
被相続人が殺害されたことを知りながら、告訴、告発をしなかった者とか、詐欺、強迫により被相続人の遺言作成、取り消し、変更を妨げた者などがそういう理由になります。
ただ、貴殿がいるのを知っていて不在者財産管理人をたてていたのであれば、それは不法行為といえるので、貴殿に損害があれば請求は可能ですが、そのことだけでは経済的損害はまだ発生していないようですね。
補足
調停では決まらず審判に移行する可能性が高そうですね。
今の弁護士と信頼関係を構築できるかが、今後も重要になってくるので、よくお話し合いになってみたらどうでしょう?
評価・お礼
rockchick さん
2011/02/22 01:37
松野先生
ご丁寧な回答、本当にどうもありがとうございました。
遅くなりましたが、相手方の提出したリストを吟味して、こちらからの細かい要望を当方の弁護士に伝えた所なのを報告します。彼がどのような態度に出るかを待って今後の意向を決めます。
特に預貯金の父の取引履歴の開示請求についての情報は本当に助かりました。
これからの動向、大きな変化がありましたら、また報告させていただきたいと思います。
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