対象:遺産相続

松野 絵里子
弁護士
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仮に遺言が偽造である場合について
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弁護士の松野絵里子です。
最近は亡くなった方の身近な相続人が、相続財産を独り占めしているのでどうにかしたいというご相談をよく受けます。
貴殿の場合、まさか勝手に作られた偽造の遺言ということは可能性としては少ないのでしょうけど、ちょうどよい機会なので、遺言が偽造の場合にできる措置について御説明しましょう。
遺言を偽造すると、偽造したその行為は私文書偽造罪という刑法上の罪に問われます(刑法159条)が、とりあえずここでは柚木紺の偽造に関する民事のお話をいたしましょう。
偽造された遺言、つまり死亡された方が書いていない自筆証書遺言とされているものは、民法上は意味がありません。ですので、ないものとみなされて法律に従い法定相続分にしたがって相続されます。
しかし、遺言は偽造だったと主張するのには、まずは調停で関係者で協議してもまとまらない場合、民事訴訟で遺言無効確認という訴訟を提起しないといけません。そして、その訴訟の中で提訴したほうが偽造を立証する必要がありますので、筆跡鑑定という方法で立証していきます。これは、専門機関に筆跡の照合を依頼するというものです。もっとも、これも鑑定する業者によって結論が異なることもあり費用がかかって意外と大変なものです。
もし筆跡が亡くなった方のものという可能性が低く、その遺言で利益を受ける方のものである可能性が高いことが鑑定の結果わかれば、遺言はその方の偽造であって存在しなかったことになり、法定相続にしたがって相続されます。
また、偽造した相続人は相続欠格という制度によって、相続人になることはできません(民法891条)。これは、相続に関して不当に利益を得ようとした者の相続権を、当然に剥奪するための民法の制度なのです。
なお、自筆証書遺言にはこれが入っていないといけないという厳しい要件があります。
全文が自筆でないといけません。
日付の記載が必要です。
署名と捺印も必要です。
どれが欠けても遺言は無効になります(民法 968 条 1 項)。
そこで、自筆証書遺言は、書いた後、弁護士にチェックしてもらった方がよいといわれています。
何か要件が欠けているだけで意味がなくなってしまうので、どうせ作るならきちんとしておいたほうがよいでしょう。
評価・お礼

ゆーくんみやこ さん
2010/12/21 04:12
回答ありがとうございます
ちょっと補足すると その女性は生前兄弟姉妹その伴侶 甥姪に(仮)50万ずつはみんなに残しているという口約束をしていました
しかしその女性が亡くなってすべて遺産となってしまいました
それにより 不利になってなってしまった家族がメモをみつけたからです
(現在のポイント:-pt)
この回答の相談
ある女性が95歳で亡くなりました
その女性は結婚していましたが 子供はいません
そして女性の兄弟姉妹も亡くなっていますので その子供(甥姪)が相続するところ迄話は進んでいました
ところ… [続きを読む]
ゆーくんみやこさん (東京都/47歳/女性)
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