対象:住宅設計・構造

石川 嘉和
建築家
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姉歯事件後の建築基準法改正は手続きの厳格化が主なポイント
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はじめまして。邑都(ゆうと)設計工房の石川と申します。
姉歯事件(耐震偽装事件)は本来の構造計算書、構造図の一部を鉄筋本数等を減らしたものに差し替えて確認申請を通し、その偽装された設計図書に沿って工事をしたという事件でした。構造計算基準ではなく確認申請の手続きが問題になったものなので、その後の法改正は確認申請手続きの厳格化と、不正をはたらいた建築士に対する厳罰化というのがその骨子です。従って構造計算基準自体は、耐震壁規定の強化などを除いてほとんど変更されていません。
一方高強度コンクリートの技術が進んだことなどから高さ60m超(概ね20階建てマンション相当)の超高層の建物でもSRCでなくRCでの設計がやりやすくなり、十数年前くらいから主に集合住宅でRC造が増えてきました。スパン(柱と柱の間隔)を長くして空間を広く使いたい事務所ビルでは柱梁が大きくなりすぎるなど実用的ではないので採用されることはほとんどないですが、細かく部屋を区切る必要があるためスパンが短いマンション建築ではRCで高層建築を作るのは非常に例が多いです。
手続きの厳格化の目玉として出てきたのが構造関係設計図書のピアチェックです。これは確認申請を受け付けた確認機関が審査した後、同じ構造設計図書をあらためて別の機関が審査するというダブルチェックの制度で、適正な審査が担保され姉歯事件のようなことは起こりにくくなったと考えられています。
確認申請が正しくなされるかどうかとは関係がないのですが、超高層マンションでは(特に地盤の軟弱層が深い地域で)地震時にかなり揺れることを念頭において購入検討をされたほうがいいと考えます。地盤のことは設計図書に書かれていますのでモデルルーム等で見せてもらえると思います。
評価・お礼

nobara さん
高強度コンクリートがあると聞いていましたが、こんな風に活用されているんですね。
今後は、マンションは殆んどが、RCで出来るのですね。
有難う御座いました。

石川 嘉和
早速の評価連絡ありがとうございます。多少なりともお役に立てれば幸いです。姉歯事件に端を発する問題は建築基準法改正、建築士法改正、瑕疵保険制度創設など多岐に渡っています。それぞれ良い面困った面両面の影響を建築界に及ぼしています。また何か疑問がありましたら御相談ください。
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この回答の相談
マンションの建物構造は、低層(6階まで)はRCで、それ以上の高層はSRCであったと記憶していますが、最近は15階でもRCで設計されている。
姉歯事件後は、耐震、免震せいからゆるくなったように思うのですが、何がどう変わったのですか?
RCの限界はあるのでしょうか?
nobaraさん (神奈川県/71歳/男性)
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