(続き)・・続いて体温と代謝を上げるような健康的な食生活について考えてみます。体を冷やす食べ物は前述のように、過度に冷えた食べ物、各種加工食品、インスタント食品、栄養バランスを欠いた食品などが挙げられますが、反対に体を温める食事とは、どのようなものでしょうか。一番分かりやすいのは文字通り「温かい」食事です。例えば鍋物とか味噌汁、温かいご飯、温かい蕎麦などです。
もちろんその通りなのですが、それでは一見冷たい食べ物、例えば生野菜のサラダや果物などは体を冷やすのでしょうか。その答えは半分当たっていて半分間違っています。よく果物やサラダを食べると体が冷えるから良くない、という話を聞きます。また夏野菜は南国の果物は体を冷やすので、体を温める冬野菜や北国の果物を食べなさい、というアドバイスをする医師や栄養士も少なくありません。
確かに冷え性の人や低体温の人が食材を選ぶ際には、出来るだけ体を温めるような冬野菜や北国の果物、例えばリンゴやニンジン、ホウレン草などを食べるのが良いと言えます。ただ体を冷やすとされる夏野菜や南国の果物であっても、自然栽培の良質なものであれば、ビタミンやミネラル、抗酸化物質などが豊富に含まれており、免疫力や代謝、抗酸化力を向上させるなど体に良い働きを存分にしてくれます。
すなわち体を冷やすとされる野菜であっても、体が冷えたと感じるのは最初のうちだけであって、食材に豊富に含まれるビタミンなどの栄養素によって体内で化学反応が進み、いずれは代謝が活発になって体温が上がるものなのです。逆に体が冷えては良くないとばかりに、これら有用な野菜や果物を全く食べない、というのは実にもったいない話で、あまり体を冷やす、冷やさないにこだわる必要はありません。
とはいえ冷え性や低体温で体調が優れない方が食材を選ぶ際には、やはり体を温める陽性食材を意識して選ぶことが大切です。例えば体を温める食材の代表としてはショウガやゴボウ、レンコンなどの根菜類、シイタケなどのキノコ類、昆布やワカメなどの海藻類、それにゴマやナッツ類などが挙げられます。また白米よりは玄米、精白小麦よりは全粒小麦で作ったパンの方が、体を温め栄養素もより豊富です。
そのような陽性食材を主体として、必要以上に加工されていない「自然な旬の食材」で構成された食事を日常的に摂ることで、自然と体は温まってくるものです。これと前述の適度な運動、毎日の入浴や足浴などを上手く組み合わせ、毎日を楽しく暮らすことによって、ストレスも自ずと解消されます。そのようにして免疫力と代謝、抗酸化力が向上し、ガンや慢性疾患に負けない体と心が形作られるのです。
このコラムの執筆専門家
- 吉野 真人
- (東京都 / 医師)
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病気を治したり予防するにあたり、いちばん大切なのは、ご本人の自然治癒力です。メンタルヘルスを軸に、食生活の改善、体温の維持・細胞活性化などのアプローチを複合的に組み合わせて自然治癒力を向上させ、心と身体の両方の健康状態を回復へと導きます。
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