(続き)・・先週から今週にかけ九州、中国、四国地方を皮切りに、近畿、東海、関東甲信地方まで一気に梅雨入りしました。まだ5月だというのに今年は随分と早い梅雨入りですね。平年比で4日から11日も早い梅雨入りだそうです。
昨日「蒲田よしのクリニック」に来院された喘息をお持ちの女性は、「雨が降りそうな時は体調で分かるんですよ」と話されていました。低気圧や前線が近付くなどして雨の予報が出ている時には、決まって呼吸が苦しくなるのだそうです。
古来、病気と気象との関係が様々に観察され、研究されてきました。実際に気温や湿度、気圧などの気象条件が、病気の症状や予後、健康度などに大きな影響を与えています。
よくある例としては、気圧が下がり雨雲が近付いてくると、喘息やリウマチ、めまいなどの症状が悪化する、というケースがあります。これらをお持ちの方は気圧などの変化を敏感に感じ取り、人によっては天気予報を見なくとも、低気圧や前線の接近を予想できるといいます。
体調を崩しやすい気象条件の一つとして「湿気」があります。「湿気は万病のもと」などとよく言われますが、雨が降って湿度が上がると体調を崩す人が多いのは、なぜなのでしょうか。
漢方の考えでは昔から「水毒」という分類がありますが、これは体内に溜まった余剰な水が体を冷やし、関節や筋肉などの痛み、めまい、浮腫、痰、鼻水、下痢、頻尿など様々な病気や体調不良の原因になるというものです。
我々は暑くなると水分をたくさん摂るようになりますが、体内に取り入れた水分をスムーズに処理できない状態が続くと水毒の状態に近づき、そこに長雨や湿気、気温の低下が加わると、めまいや浮腫、関節痛など本格的な水毒の発症を招きます。従って如何に体内の水分をうまく循環させ、余分な水分を排出できるかが肝要なのです。
さて前回のコラムで、高濃度ビタミンC点滴をより安全に、有効に施行するための注意点と工夫について説明しました。G6PD欠損症の検査を必ず行ない、浮腫と喉の渇きに留意し、血中濃度を測定して維持量を決める、などという取り組みです。
そのような検査や注意点、工夫を怠らなければ、高濃度ビタミンC点滴はたいへん安全性が高く、かつ有効性が高い治療法です。しかも他の治療法との相乗効果も見込め、抗がん剤などの副作用を軽減することさえ期待できます。
しかしながら、さしもの高濃度ビタミンC点滴も、決して万能かつ無敵の治療法ではありません。というのは、治療効果のなかなか上がらないガン患者が一定の割合で存在するのです。また当初は効果があったのに、治療を重ねるに従って効果が薄れるような症例も少なくありません。
すなわち必要な検査を行ない、血中濃度を測定のうえ充分な量のビタミンCを点滴したにも関わらず、ガンの増大を抑制し縮小させる効果が弱いという症例が、少なからずあるのです。これは一つには、ビタミンCに対するガン細胞の「感受性」が低いことが原因と考えられています。
高濃度ビタミンC点滴の効果が充分に得られない人には幾つかの特徴があります。その一つとして、「体温」がたいへん低いということが挙げられます。ガン患者の多くは36℃以下の低体温となっていますが、35℃台前半や34℃台という著しい低体温の場合には、高濃度ビタミンC点滴などの治療の効果が低いという傾向があるのです。
体温が著しく低いと血流が低下し、ビタミンCを含む各種栄養素の体内循環も滞り、ガン病巣に充分量のビタミンCが届きにくくなります。またガン細胞のビタミンCに対する感受性が低下するとも言われています。せっかくのビタミンCが、効力を発揮できなくなるのです。
一方で著しい低体温になると、ガンを攻撃する免疫細胞、すなわちNK(ナチュラルキラー)細胞などの働きが低下します。つまり免疫細胞がガン細胞を認識し殺傷する能力が低くなってしまうのです。
高濃度ビタミンC点滴療法に取り組んでいる一部のクリニックでは、体を温める「温熱療法」を併用し、良好な治療効果を挙げています。機械を使って体の深部、あるいはガン病巣に狙いを定め、高温の熱を発生させる治療をしている施設や、岩盤浴のような方法で全身を温める治療をしている施設などがあります。
体を温めることによって血流が良好となり、ビタミンCがガン病巣まで届きやすくなります。またガン細胞のビタミンCに対する感受性が向上し、ビタミンCがガン細胞をより殺傷しやすくなります。一方で免疫細胞の機能が高くなり、これらによるガン細胞への攻撃がより活発になります。
実際に基礎実験で、温度を37℃から39℃まで加温すると、ビタミンCによるガン細胞の殺傷力が倍増したという研究結果が出ています。また臨床に於いても、高濃度ビタミンC点滴でガン病巣の縮小が得られなかった症例に対し、温熱療法を併用することで劇的な腫瘍の縮小が得られた、という症例報告が多数あります。
「蒲田よしのクリニック」では、高濃度ビタミンC点滴と「ラドン浴」の併用療法に取り組んでいます。ラドン浴を施行することにより、著しい低体温のガン患者であっても、ほぼ確実に体温の上昇が得られます。ひどい冷え性も、ほんの2、3回ラドン浴を行なうだけで、多くはケロッと治ってしまいます。
ラドン浴により体温が36℃台まで向上した状態で高濃度ビタミンC点滴を行なうと、その効果が明らかに向上します。実際に他院の高濃度ビタミンC点滴が効かなかったガン患者がラドン浴を併用したところ、ガンが縮小したという症例も何例かあります。
一方でラドン浴はQOL(生活の質)の向上にも威力を発揮します。ラドンガスが代謝力や抗酸化力、免疫力を劇的に向上させるため肌ツヤが良くなり、食欲が増進し、痛みや吐き気が軽減し、夜も良く眠れるようになります。また血管が柔らかく太くなるために、ビタミンC点滴も楽に行なうことができるようになるのです。
次回以降はこのラドン浴が、ガンの治療法として如何に有効かつ安全か、について解説します・・(続く)
蒲田よしのクリニック(内科)
吉野 真人
〒144-0052 東京都大田区蒲田5-27-10 蒲田TKビル1階
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http://www.kamata-yoshino-clinic.com/ (公式HP)
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このコラムの執筆専門家
- 吉野 真人
- (東京都 / 医師)
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病気を治したり予防するにあたり、いちばん大切なのは、ご本人の自然治癒力です。メンタルヘルスを軸に、食生活の改善、体温の維持・細胞活性化などのアプローチを複合的に組み合わせて自然治癒力を向上させ、心と身体の両方の健康状態を回復へと導きます。
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