- 三瀬 宏太
- 法律事務所ホームワン 税理士
- 東京都
- 税理士
対象:会計・経理
平成23年度税制改正において、法人税法57条1項の規定により青色欠損金を繰り越せる期間が従来の7年間から9年間に延長されました。リーマンショックの影響に対応するため、平成20年4月1日以後終了した事業年度に生じた欠損金から,繰越期間が7年から9年に延長されます(法附則14)。
なお、繰越控除額の制限については、基本的に資本金1億円超の法人,又は資本金5億円以上の法人の100%子会社等が対象となりますが(法法57⑪)、繰越期間の延長については、資本金1億円以下の中小法人なども含めて対象となります。具体的な数値等を使って考えると以下の通りになります。
☆大法人(資本金1億円超又は資本金5億円以上の法人の100%子会社等)
→その事業年度の所得金額の80%までしか青色欠損金を使えなくなります。
【前提条件】第1期 所得金額 △10,000円 第2期 所得金額 9,000円 税率25.5%
第1期 青色欠損金 △10,000円 第2期 法人税(9,000円-8,000円※1)×25.5%=255円→200円(百円未満切捨)
青色欠損金2,000円が最大で第10期まで繰り越されます。
※1 10,000円(青色欠損金)×80%=8,000円<9,000円(所得金額) ∴8,000円
☆中小法人等(大法人以外)
→【前提条件】第1期 所得金額 △10,000円 第2期 所得金額 9,000円 税率25.5%
第1期 青色欠損金 △10,000円 第2期 法人税(9,000円-9,000円※2)×25.5%=0円
青色欠損金1,000円が最大で第10期まで繰り越されます。
※2 10,000円(青色欠損金)>9,000円(所得金額) ∴9,000円
この7年間から9年間に変更になった事に伴って、帳簿書類の保存期間も7年間から9年間に変わりました。この点は、法人の経営者又は経理部の方には注意して頂きたいところになります。なぜなら、青色欠損金の繰越控除は、帳簿書類の保存が行われていないと適用を受けることが出来ないからです。
税理士 三瀬 宏太
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