中小企業庁“小さな企業”未来会議 - 顧問税理士・会計士 - 専門家プロファイル

平 仁
ABC税理士法人 税理士
東京都
税理士

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中小企業庁“小さな企業”未来会議

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中小企業庁が多くの有識者の英知を集めて中小企業支援の未来像を

構築するための取り組みとして、“日本の未来”応援会議がある。

3月初旬に全体会議が開催されており、ここでも紹介していますが、

3月29日にワーキンググループ“小さな企業”未来会議の

第1回会合が開催されました。

 

議論のテーマには、中小・小規模企業の課題の克服1として、

資金調達、基礎経営力、経営指導・経営支援の問題が議論されました。

 

議事録を読んでいますと、現場で奮闘されている経営者からは

苦しくとも前を向いて成長していこう、という意思が感じられます。

金融機関からは、我々税理士にとって非常に耳の痛い話が満載です。

いわく「経営、特に会計の不透明性をいかに払拭するか」(議事録p7)、

「帳簿をきちんと実態を反映したものにすれば、多分、銀行の支店長は、

その帳簿を見ることによって、きちんとした、適切なアドバイスが

できるのではないか」(議事録p14)、

「帳簿1つとっても、なかなか税理士さんとか、会計士さん任せで、

中身については、余り理解されていらっしゃらないお客様というのも

少なからずいらっしゃるというケースも大変多」い(議事録p16)、

 

理論家の税理士、坂本孝司先生は鋭い指摘をされています。

「3月29日現在で2月までのわが社の業績をしっかりと把握している

経営者が、(略)どの程度あるかということです。

税理士の感覚からしますと、2割もいません。(略)こんな状態で、

「経営を一生懸命やっているのに」とか、「国に何とかしてくれ」

とかいうレベルではないと私は思っているのです。ですから、

これは仕組みの上で、開業する場合は、「私が貯金したのは300万、

これを使って1~2年でどう商売するか」というのをちゃんと数字で示す。

それから、スタートしたら、日々刻々、せめて月々集計して、

「こんな数字ですよ」と言って金融機関に見せたり、顧問税理士に

アドバイスをもらう。そういう仕組みをつくれば、この260万の

中小・零細企業は生き返ると思っています。(略)

数字を知る、その上で経営を行うという仕組みがわが国に根づくことを

期待したいと思っております。」(議事録p9)

 

大阪の植田卓税理士も「会計に関しては帳簿の整備でございますが、

私の感じでは、会社というレベルであれば、ほぼリアルタイムで、

どんな小さなところでも帳簿はできていると思います。(略)

帳簿に関してはリアルタイムにできるんですけれども、貸借対照表、

損益計算書のレベルで、皆様方が把握されているかというと、

勿論ある程度のところは把握されていますが、

小規模企業になってくると、決算のときはお話しさせていただくと、

うん、うんとおっしゃっているんですけれども、本当のところは

どこまでわかっていらっしゃるのか、よくわからないところがあります。

ただ、普段から全く把握できていないかというと、決してそうではなくて、

キャッシュ・フロー、お金の動きは絶対に把握しておられます。

これは肌感的に把握しておられます。」(議事録p32)

 

 

こういった発言から見えてくるのは、財務諸表の中身をある程度

理解されている経営者が少なく、また、税理士の作成する帳簿の

信頼性についてもかなり低く扱われている、ということでしょうか。

 

税理士が作成する帳簿は税務会計に基づいて作られていますから、

企業経営者が利用したい管理会計情報が読みづらいのも事実です。

 

税理士の試験科目に管理会計がないことも理由かもしれませんが、

中小企業の会計に関する基本要領も「税法上にできるだけ近寄せて、

税理士と一緒につくる会計がそのまま使える」(議事録p3)ことを

想定していますし、中小・小規模企業経営者の経営相談の実態として、

定期的な経営相談をしている経営者の68.1%が、その相手を

顧問税理士・会計士と答えた2011年12月の調査結果を踏まえれば、

我々税理士が税務だけではなく経営相談にも対応できなければ、

小企業の未来に光を感じられなくなりかねません。

 

経営者は細かい数字は理解していなくても、儲けは感覚的には

把握していますから、そこに根拠を与えることが必要でしょう。

 

我々税理士も経営者としての高い意識を持つべきかもしれませんね。

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