- 平 仁
- ABC税理士法人 税理士
- 東京都
- 税理士
対象:会計・経理
経済がグローバル化した現在では、ある企業の企業業績を分析するには、
会計処理のルールを統一しておかないと、国際市場に報告されてくる
財務諸表の比較可能性を担保することができません。
会計処理のルールを国際的に調和化するための取り組みとして
各国の会計士団体により形成したのが国際会計基準委員会
(IASC)でした。
IASCが1989年に公表した公開草案「財務諸表の比較可能性」以来、
世界各国の会計を規制する団体(日本では、金融庁、証券取引委員会、
日本公認会計士協会等)によって、国際的に統一された会計基準の策定が
目指されてきたわけです。
これが近年問題になっている国際財務報告基準、IFRSです。
日本では、2015年IFRS全面適用に向け、検討されてきたわけですが、
これが上場企業だけのことなのか、それも連結財務諸表だけなのか、
それとも、中小企業にも影響を与えるのか、明確になっていません。
昨年の6月、自見金融相が、IFRS全面適用に待ったをかけた
こともあって、この先行きがさらに不透明になっています。
この問題について、今後の方向性を考える上では、
田中弘「IFRSはこうなる」東洋経済新報社2012、1600円+税
をぜひご一読頂きたい。
IFRSアドプション(全面適用)がいかに可笑しい議論なのか、
よくご理解頂けることと思います。
私自身は、上場企業向けの会計基準をIFRSに近づけることには
賛成ですが、あくまで連結財務諸表のみの適用であるべきで、
税務との親和性を持つ個別財務諸表については、日本独自の基準が
あってしかるべきだと考えています。
中小・零細企業に至っては、現行の会計基準さえ準拠せず、
いわゆる税法基準を採る企業が多いことを考えれば、
中小企業会計基準さえ画餅であり、国際的に非難を浴びても、
税法基準との親和性の高い日本独自の中小企業向けの基準を
策定すべきではないか、と考えています。
その思いから、昨年10月の税務会計研究学会では、
「IFRSアドプションと確定決算主義
―大企業優遇税制からの脱却の可能性―」
と題した自由論題発表をさせて頂きました。
発表要旨については、今年の税務会計研究に掲載されると思いますが、
発表の元になった論文は、どこに掲載できるか決まっていませんが…
私は、会計から税法に転向してもう10年以上なりますが、
おかしいと感じたことには、自分から発信しなければ何も変わりません。
ドン・キホーテでもいいのだから。
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