貿易収支から見た国債金利上昇のシナリオ - お金と資産の運用全般 - 専門家プロファイル

釜口 博
BYSプランニング ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルプランナー

注目の専門家コラムランキングRSS

対象:お金と資産の運用

柴垣 和哉
(ファイナンシャルプランナー)

閲覧数順 2024年04月24日更新

専門家の皆様へ 専門家プロファイルでは、さまざまなジャンルの専門家を募集しています。
出展をご検討の方はお気軽にご請求ください。

貿易収支から見た国債金利上昇のシナリオ

- good

  1. マネー
  2. お金と資産の運用
  3. お金と資産の運用全般
知らないと損するかも…のお話し

ファイナンシャルプランナーが天職!
BYSプランニングの釜口です。


日本国債は、日本国内の投資家が90%以上保有しており、
安全だというのが定説である。

今まで日本国債は、外国人投資家に国債を売り込まれた影響で
財政危機に陥ったギリシャとは違うということだった。
  
ところが、その安全神話が徐々に脅かされているという見通しを
発表した三菱東京UFJ銀行の分析は、貿易収支が赤字に転落すると
日本国債の信用力が下がり、10年国債の金利が現状の1%程度から
3.5%程度まで急騰する可能性があるとしている。

三菱東京UFJ銀行は日本の経済成長率・為替レート・経常収支など
30指標を点検し、国債価格の下落の兆候が出次第、
すぐに国債売却に乗り出すとしている。

そんな中、財務省が1月25日に発表した2011年の貿易収支
(輸出額から輸入額を引く)は2兆4927億円の赤字となり、
31年ぶりに赤字に転落した。

貿易収支が赤字になれば、機関投資家たちも一斉に
国債売りに出る公算が大きく、
金利が一時7%まで上昇したイタリアのように、
財政が悪化する可能性がある。

貿易赤字が膨らめば経常収支も悪化する。
経常黒字だと海外から借金する必要はなく、今は国内投資家が
日本国債の9割を買っているが、貿易赤字に転落すれば
国内だけでは国債をさばけず、海外投資家に頼むしかない。

国の負債が、国民の金融資産(1500兆円)規模に近づき、
経常収支の赤字が継続される恐れがあるだけに、
長期国債の金利が跳ね上がる可能性がでてくる。
  
例えば、三菱東京UFJ銀行が予想する国債金利として想定した
3.5%になれば、国債の返済に使われる利子だけで20兆円以上増え、
どれだけ消費税を上げても、借金返済のための新たな借金が
山のように増えて財政破綻にいたる可能性が高くなる。


貿易収支の赤字化は、為替相場の流れを円安に向かわせ、
円安は輸入価格の上昇を招き、物価の上昇をもたらし、
物価上昇は国債金利と政策金利の上昇をもたらす。

金利が上がるということは、世の中のお金の価値が下がるわけで、
タンス預金や、長期固定金利型の金融商品、貯蓄型保険などは、
おおきな損失を出す可能性が高くなる。

反対に貿易収支の赤字化による円安で、
外貨建て金融商品の収益は上がりやすくなり、
インフレ対応型のリスク性金融商品(株式や投信、ETFなど)
も利益が上がりやすくなってくる。
  
国債金利上昇シナリオを描くとすれば、
外貨建てのリスク性金融商品を保有していることが
最大にリスクヘッジになると思われる。


ご質問やご不明な点がありましたら、
お気軽にご連絡下さい。
   メール:waku@bys-planning.com
     Tel:06-4305-4425

このコラムに類似したコラム

「日本国債の売買動向」 荒川 雄一 - 投資アドバイザー(2023/09/14 16:13)

FP継続教育セミナーのご案内 釜口 博 - ファイナンシャルプランナー(2015/10/28 17:08)

「家計の金融資産 最高額更新!」 荒川 雄一 - 投資アドバイザー(2015/03/27 14:47)

「日銀 ついに第1位!」 荒川 雄一 - 投資アドバイザー(2014/06/28 11:57)

主要国の国債(長期金利)と債券のパフォーマンス動向(2012年6月1日~2013年5月31日) 吉野 充巨 - ファイナンシャルプランナー(2013/06/09 13:00)