- 三瀬 宏太
- 法律事務所ホームワン 税理士
- 東京都
- 税理士
対象:税務・確定申告
- 近江 清秀
- (税理士)
- 平 仁
- (税理士)
平成22年度の税制改正により、平成24年1月1日以後に締結する生命保険契約等から生命保険料控除制度が見直されています。今まで、サラリーマンの方は、年末調整のタイミングで、保険会社から送付されてきた生命保険料控除証明書を会社に提出していたと思いますが、あれを提出する事により、最大5万円の所得控除を受ける事が出来ました。それが、改正により、平成24年1月1日以後契約に関するものは、最大4万円の所得控除しか受けれなくなってしまいました。また、国の税制は個人に厳しい政策をとってきたと思われるかもしれませんが、実はそうではありません。今までは、一般生命保険料控除及び個人年金保険料控除の適用限度額がそれぞれ5万円で、合計10万円の所得控除をとる事が出来ましたが、今後はこの2つの保険料控除がそれぞれ4万円になる代わりに、介護医療保険料控除(適用限度額4万円)という制度が新たに導入されました。従って、全ての保険に加入している人は、4万円×3=12万円の所得控除を受ける事が出来ます。
しかし、あくまで3つの控除が適用になるのは、平成24年1月1日以後、新たに契約した医療保険、介護保険だけですので、それより前に契約したものについては、従来通り一般生命保険料控除、個人年金保険料控除の二本立てで、上限は各5万円の合計10万円になります。つまり、一番良いのは、平成23年中に一般生命保険及び個人年金保険の10万円を満額控除取れるように契約しておき、平成24年から介護保険の契約をすれば、最大14万円の所得控除を取る事が出来ます。これが、一番の節税に繋がるでしょう。
私は、一昨年まで一般生命保険料控除しか取っておりませんでしたので、昨年末にあわてて個人年金も所得控除狙いで契約しました。私の場合、昨年の12月に向こう1年分の保険を支払うことで、昨年末の年末調整で1年分の所得控除をとりました。つまり、今年の分の保険料を昨年の所得から差し引いているという事です。これは、節税手法としてはよく使われる方法です。保険契約や賃貸借契約のように継続的な役務提供の取引については、所得税の基本通達の規定で、以下の様なものがあります。これに基づいて、行う事で、毎期支払った年度に翌期の分の経費を当期に算入できるというものです。また、保険屋さんに聞いたところ、月払いで払うより、年払いで払った方が、支払金額は少なくなるそうですので、皆さんも年払いに変更されてはいかがでしょうか。
短期の前払費用(所得税基本通達37-30の2)
前払費用(一定の契約に基づき継続的に役務の提供を受けるために支出した費用のうちその年12月31日においてまだ提供を受けていない役務に対応するものをいう。以下この項において同じ。)の額はその年分の必要経費に算入されないのであるが、その者が、前払費用の額でその支払った日から1年以内に提供を受ける役務に係るものを支払った場合において、その支払った額に相当する金額を継続してその支払った日の属する年分の必要経費に算入しているときは、これを認める。
税理士 三瀬 宏太
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