- 三瀬 宏太
- 法律事務所ホームワン 税理士
- 東京都
- 税理士
対象:税金
まず特定支出控除とは何だろうと思われる方も多いかと思いますので、給与所得者が一定の支出を行った場合、その支出額を一定の範囲内で所得控除出来るのです(所法57の2)。もう少し噛み砕いて説明すると、例えば仕事関係の本を自腹で購入した場合に、勉強の為だからそのくらいの出費はやむを得ないと諦めていた方も多いのではないでしょうか。実は、業務に関連する図書の購入は「勤務必要経費」に該当し、収入金額1500万円以下の方は、特定支出額が給与所得控除額の2分の1相当額を上回ったのであれば、その超過分を給与所得控除額に加算できるようになりました。具体的な数値を使うとすると、年収400万円の給与所得者が特定支出控除の規定を使う事が出来るのは、以下の金額です。
①給与所得控除額
400万円×20%+54万円=134万円
※国税庁HP参照
http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1410.htm
②特定支出控除を使える特定支出額
上記①÷2=67万円
∴67万円超の特定支出があれば、その超過額を給与所得控除に加算できます。
それでは、特定支出の額に該当する範囲はどの様なものがあるのでしょうか。簡単にまとめると以下の通りです。
・一般の通勤につき通常必要であると認められる一定の支出。
・転任に伴う転居のために通常必要であると認められる一定の支出。
・職務の遂行に直接必要な技術または知識を習得することを目的として受講する研修。
・職務の遂行に直接必要な人の資格。
また、平成24年度の税制改正により、この特定支出の範囲が少し拡大されてきました。具体的には、以下の内容のものが追加で加わりました。
・弁護士、公認会計士、税理士、弁理士等の資格取得費用で業務の遂行上直接必要であるもの(改正前は、独立費用として考えられて、特定支出の範囲からは除かれていました。)。
・勤務必要経費(職務と関連のある図書費、衣服費、交際費等(所法57の2②六))で上限金額は65万円までのもの
ここで言う衣服費とは、制服、事務服、作業服、その他職場で着用が義務付けられているものを言います(所令167の3⑥)。一般的には、スーツ等も含まれる可能性があるかと思います。
また、ここで言う交際費とは、「交際費、接待費その他の費用で、給与等の支払者の得意先、仕入先その他職務上関係のある者に対する接待、供応、贈答その他これらに類する行為のための支出」と規定されているため、交際費込の年棒制で契約している営業社員が有力な取引先を接待した場合に、会社が職務遂行上必要であると認めた場合には、その費用を特定支出として控除出来る事になるかと思います。
最後に、この特定支出控除を使おうと思っている方は、会社の年末調整では行ってくれませんので、確定申告をする必要があります。ご注意ください。
税理士 三瀬 宏太
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