金価格は為替とセットで確認しよう

ご承知の通り、2011年7月18日にNY商品取引所で、史上初めて金の価格が1トロイオンス1600ドルを超えました。高騰の要因は欧州や米国の債務問題への警戒感などから、実物資産の裏付けがある金への資金逃避によるものです。

これにより、日本でも金はまだまだ上がるとの予測も広がっています。ただ、この1600ドルという価格は、米国ドルでの価値ですので、円に置き換えると上昇率が抑えられます。
これから金への投資をお考えの方は、為替の影響を勘案されるようお勧めします。

前回、商品価格が高騰していた、2008年と比較したいと思います。
リーマンが破綻したのは2008年9月15日でした。その前後をみる
2008年7月25日の金先物は922.70ドルで、リーマン破綻後の10月3日は883.20ドルまで下落しています。下落幅は-4.3%でした。ショック時に他の商品よりも金は強かったと言えます。この観点からは金の保有は資産を分散するという効果があります。
ところで、現在までの価格の動きをみると、多分に米ドルのインフレ分が含まれていると推測されます。それをドルと円の対比で表したものが、下記グラフです。
金価格の動向として、08年10月初めの883.20ドルから2011年までの間、ドル表示では金先物価格は大きく上昇し、1,600ドルまでの上昇幅は約82.05%です。
しかしながら、その間デフレ基調であった日本円で表示しますと、7月25日は1トロイオンスは約99,439円で、2011年7月18日の価格は約127,104円になり上昇率は35.4%になり、上昇幅は縮まります。このように日本円で資産価値を図ると、驚くほどの上昇では無いことが解ります。

グラフはドルは元の値を表示し、円換算は、ドル価格×当日の為替仲値で換算し、グラフ表示は比較のため100分の1を単位としています。

ご存じの通り、過去の米国と日本のインフレ率には3～4%程度の差がありますが、リーマンショック後の米国の低金利政策とジャブジャブのドル札の発行で、見かけ以上にドルの価値が下がっているのではないでしょうか。

これから、金を購入する方達は、金のNY商品取引所先物価格は常に円換算で捉えてるようお勧めします。

文責
ファイナンシャル・プランナー
&投資アドバイザー　吉 野　充 巨

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