遺言書ー遺言者の遺言能力 - 家事事件 - 専門家プロファイル

村田 英幸
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閲覧数順 2016年12月05日更新

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遺言書ー遺言者の遺言能力

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相続

(ⅰ)遺言能力

 遺言をする時には遺言能力が必要です(民法963条)が,遺言能力については,民法961条が「十五歳に達した者は,遺言をすることができる。」と規定するのみで,他に遺言能力について直接規定した条文がありません。遺言能力については,民法961,962条により行為能力の適用がなく,成年被後見人も事理弁識能力を回復している場合は,医師二人以上の立会いの下で遺言を作成することができるとされている(民法973条)ことから,意思能力で足りるとされています。

 遺言者の多くが高齢者であるため,判断能力が低下した高齢者を周囲の一部の者が財産を得ようとして遺言に導いている事例もあり,近年,遺言の効力をめぐる紛争が増加しています。

(ⅱ)遺言能力の判断要素

 遺言能力の判断は,「遺言の内容,遺言者の年齢,病状を含む心身の状況及び健康状態とその推移,発病時と遺言時との時間的関係,遺言時と死亡時との時間的間隔,遺言時とその前後の言動及び精神状態,日頃の遺言についての意向,遺言者と受遺者との関係,前の遺言の有無,前の遺言を変更する動機・事情の有無等,遺言者の状況を総合的にみて,遺言の時点で遺言事項(遺言の内容)を判断する能力があったか否かによって判定すべきである」(東京地判平成16・7・7判タ1185号291頁)とされます。

(ⅲ)裁判例     

過去の二度の遺言とは異なり,全財産を三女のみに相続させることとした理由が見当たらず,当該遺言が,たまたま三女が箱根旅行に遺言者を連れていった機会に作成された経緯や当時,遺言者の認知症が相当に進行していたことを併せて勘案し,遺言者の遺言能力を否定し,当該遺言を無効と判断した裁判例(東京地判平成18・7・25判時1958号109頁)があります。

(ⅳ)対策

 自筆証書遺言の場合,遺言作成時の遺言者の遺言能力に疑義が生じるおそれもありますから,遺言作成時において遺言者に遺言能力があったことを証明する資料を残しておくことも検討すべきです。具体的には,遺言者が病院や施設に入院・入所中の場合は,遺言作成時における医師等の診断書等を取得しておくのがよいでしょう。また,遺言作成の現場に複数の同席者を呼んで,同席者において遺言者の遺言作成の経緯・状況等についての記録を残すという方法も考えられます。

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