今年も残りわずかになりました。いろいろな事を感じ、そして考えさせられる一年でした。何よりも大きな出来事は、あの悲しい東日本大震災です。
震災直後から現在まで、いろいろな人たちの活動、行動を見ていて、胸を打たれることがたくさんありました。本当につらいはずの被災者の方々の我慢強い態度、自衛隊やボランティアの方々の献身的な現地での支援、いろいろな企業、組織、個人の様々な形での支援、その他のいろいろな動きを見て、日本という「チーム」の底力を感じました。またこの「チーム」に属していられることに、誇りを感じる事もできました。
残念ながら「国」というレベルでのリーダーシップはあまり感じられなかったけど、それぞれの組織やコミュニティが、それぞれのできる範囲や持ち分の中で、それぞれリーダーシップを発揮して行動していたと思います。この現場主義と現場力が日本の組織の強みだと、あらためて感じています。逆にこの現場依存が、日本の組織の弱みと言えるのかもしれません。
私の仕事は「人事という切り口で、活力がある組織・チームを作るお手伝いをする」ことです。今までも現場の大切さを意識してきましたが、震災を機に更にその思いを強くしました。
会社でも、経営者や役員、管理職のリーダーシップに関する批判が良くあります。もちろんしっかりとリーダーシップが取れる方は多数いらっしゃいますし、その努力もされていますが、組織の強みが現場力ならば、トップダウンのある意味余計なリーダーシップに期待せず、現場のリーダーシップを活かせるようにしていくことが、結果的に「良いチーム」につながるのではないかと思います。
グローバルな企業では少し事情が違うでしょうが、日本人が大半の日本的な企業であれば、いろいろな事を現場に任せる「権限委譲」をどうするかということが、組織作りにキーワードになるように感じています。
“トップダウン”と“ボトムアップ”のバランスは、組織作りでは永遠のテーマですが、これからの自分の取り組みに、今年感じたことをうまく活かしていければと思っています。
今年一年お付き合い頂き、有難うございました。
新年は1月9日から掲載させて頂きます。
皆さま、良いお年をお迎えください。
このコラムの執筆専門家
- 小笠原 隆夫
- (東京都 / 経営コンサルタント)
- ユニティ・サポート 代表
組織に合ったモチベーション対策と現場力は、業績向上の鍵です。
組織が持っているムードは、社風、一体感など感覚的に表現されますが、その全ては人の気持ちに関わる事で、業績を左右する経営課題といえます。この視点から貴社の制度、採用、育成など人事の課題解決を専門的に支援し、強い組織作りと業績向上に貢献します。
「社員にやる気を出させるヒントになるエピソード集」のコラム
誰でも陥る「人物評価の思い込み」(2024/04/03 23:04)
「目指したい上司」がいる幸運といないことの当たり前(2024/03/06 14:03)
注意が必要と思う「生産性が低い」という指摘(2024/02/21 18:02)
「失敗」「挫折」の体験は成長に必須か?(2023/10/26 09:10)
問題は「閉鎖的な組織環境」でエスカレートする(2023/10/11 22:10)
このコラムに関連するサービス
当事者では気づきづらい組織風土の問題をアドバイス。同テーマ商品の対面相談版です。
- 料金
- 6,000円
「今一つ元気がない」「何となく一体感がない」など、職場の風土や雰囲気に関する悩みについては、当事者しかわからない事情とともに、当事者であるために気づきづらい事もあります。これまでのコンサルティングで、活気を維持する、活気を失う、活気を取り戻す、という様々な事例、プロセスを見た経験から、会社状況に合わせた原因分析、対策をアドバイスします。(同テーマのメール相談を、より詳細に行うための対面相談です)
このコラムに類似したコラム
組織の中で「感情的」が必要になること 小笠原 隆夫 - 経営コンサルタント(2023/07/19 22:59)
「威圧するリーダー」のメリットは何か 小笠原 隆夫 - 経営コンサルタント(2023/05/10 18:18)
「自分が上」と意識すると高慢になり、「不平等」を感じると行動に出る 小笠原 隆夫 - 経営コンサルタント(2020/08/18 08:00)
「既存を壊す」の良い意味と悪い意味 小笠原 隆夫 - 経営コンサルタント(2019/05/14 08:00)
「メンバーが楽しく仕事ができるように」というリーダーシップ 小笠原 隆夫 - 経営コンサルタント(2018/11/13 08:00)