- 平 仁
- ABC税理士法人 税理士
- 東京都
- 税理士
対象:会計・経理
IFRSの適用について、自見金融相が注目すべき談話を発表している。
http://www.fsa.go.jp/common/conference/danwa/20110621-1.html
IFRS適用の議論に当たっては、会計基準が単なる技術論だけでなく、
国における歴史、経済文化、風土を踏まえた企業のあり方、会社法、税制等の
関連する制度、企業の国際競争力などと深い関わりがあることに注目し、
さまざまな立場からの意見に広く耳を傾け、会計基準がこれらにもたらす
影響を十分に検討し、同時に国内の動向や米国をはじめとする諸外国の状況
等を十分に見極めながら総合的な成熟された議論が展開されることを望む。
一部で早ければ2015年3月期にもIFRSの強制適用が行われるのでは
ないかと喧伝されているやに聞くが、「少なくとも2015年3月期についての
強制適用は考えておらず、仮に強制適用する場合であってもその決定から
5-7年程度の十分な準備期間の設定を行うこと、2016年3月期で使用終了と
されている米国基準での開示は使用期限を撤廃し、引き続き使用可能とする」
金融庁HPから抜粋してきたが、これが自見金融相のコメントであるところに
注意するべきであろう。つまり、自見金融相のコメントは日本政府の方針を
世界に発信することを意味するわけですから、2015年3月期における
IFRSの強制適用の可能性は限りなく小さくなったと言えるであろう。
私が注目するのは、強制適用の時期、ではなく、歴史や文化といった背景を
踏まえて「会社法、税制等の関連する制度」等を考慮して検討せよ、という
政府の姿勢を高く評価するからだ。
IFRS適用会社は、金商法適用会社、つまり上場企業を中心とする大会社
のみであり、多くの中小企業には影響がない、との主張が多い。
金商法適用会社のみにIFRSを適用するという考え方には私も賛同する
ところですが、法人税法が大小区分立法になっていないために、
中小企業にも少なからぬ影響を与えるものと考えています。
(この点については、10月2日に名古屋経済大学で開催される
税務会計研究学会で発表させて頂く予定です。)
IFRSを強制適用(アドプション)するからには、会計側のみの論理では
到底許されるものではなく、会計基準の変更に伴い影響を受ける可能性が
ある分野からの意見を踏まえながら、制度設計する必要があろう。
だからこそ、自見金融相は、この時期に大臣談話を公表したのではないでしょうか?
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