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対象:心と体の不調

茅野 分
茅野 分
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閲覧数順 2016年12月04日更新

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うつ病をブッとばせ!セルフ&ラインで育む会社の心の健康(1)

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  1. 心と体・医療健康
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  3. 疲れやすさ

我々産業医は、企業で働く社員の心身にわたる健康管理に携わっていますが、企業の人事・労務面の支援をしている社会保険労務士との間で、社員の健康問題、とりわけメンタルヘルスの問題について情報交換や意見交換をする機会が増えてきております。その背景として、うつ病をはじめとする「心の病」が勤労者の間でたいへんな増加傾向にあること、そして企業側からのメンタルヘルスに関する相談事が増えてきていることが挙げられます。

 

例えば、我々産業医がある社員の健康問題を扱う時、その主たる原因が超過勤務にあるとみられる場合には、社労士へ労務面に関して相談する必要がありますし、反対に社労士が社員の病休や傷病手当金の手続きをする際には、本人の病気や心身の健康度に関して産業医に相談する、ということが日常的に行なわれています。従って今や社労士と産業医とは、企業の勤労者に対して協働作業で支援を行なうことが望ましい時代になっていると考えられます。

 

さて我が国に於ける自殺者数が平成10年以来、10年連続で3万人を突破しています。これは交通事故による死者数の約6倍に相当する数字です。世界的にも日本の自殺率は高率で、主要国ではロシアに次いで何と第2位です。率を比較するとアメリカの約2倍、イギリスの約3倍にもなり、まさに「自殺大国」といえるほど深刻な社会問題となっています。年齢層でみると、50~60代の男性が特に目立ちます。

 

その自殺の最大の原因となっているのが、うつ病をはじめとする「心の病」です。企業に於けるメンタルヘルスの実態調査では、2007年にメンタルヘルス不調で1か月以上休職している社員がいる企業は62.7%にのぼり、3年前の調査より10ポイント以上も上昇しています。さらにメンタルヘルス不調者が最近3年間で増加していると答えた企業は55.2%と半数以上に上っており、企業に於ける心の健康問題はより深刻化してきています。

 

企業側の責任を追及する動きも目立ってきています。その一つは心の病を原因とする労災の認定請求が急増していることです。平成3年の段階ではわずか2件だった請求数が、平成19年には900件を突破し、千件に迫る勢いです。実際の認定数も平成20年には過去最高の269件を数えました。世代別でみると30台が38%と際立っており、企業に於ける「30代の危機」などと叫ばれています。

 

企業に於ける経済的損失はどのくらいあるのでしょうか。例えば一人の社員が心の病で長期の休業を余儀なくされた場合、平均休業期間は約5か月間とされています。しかも心の病はある日突然発症する訳ではなく、次第にやる気や仕事の能率が落ちていき、結果として休まざるを得なくなります。また改善後に復職しても、直ぐに元の仕事ができる訳もありません。従ってその前後のパフォーマンスの低い時期を加算して、約8か月分の経済的損失があると考えられます。

 

それに加えて労災申請や民事訴訟などに発展した際には、企業側にとって大きな損失につながります。さらに休業者が出た職場では、その人の抜けた穴埋めをするために頑張り過ぎて、同じように心の病を連鎖的に発病してしまう人が現れる可能性もありますし、職場全体のモチベーションが低下して企業業績にまで影響してしまいかねません。万が一、過労自殺などが発生した場合には、業界に於ける企業イメージに大きな傷がついてしまいます。

 

逆に企業として適切なメンタルヘルス対策を行なうことによって、うつ病などの心の病の発症を減らすことが充分に可能です。そのような好ましい変化が現れた職場では、社員の体も心も健全となり、安心して日々の仕事に専念することが出来るようになり、パフォーマンスは向上します。心の病が減少すれば休業補償や労災などによる企業の経済的損失も減らすことができますし、職場のモラルや企業イメージを向上させ、業績を上げることさえ可能なのです・・(続く)

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