和菓子の材料 part2 和三盆 - 洋菓子・和菓子 - 専門家プロファイル

廣瀬 ちえ
CHIE'S KITCHEN 代表
愛知県
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閲覧数順 2024年04月25日更新

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和菓子の材料 part2 和三盆

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和菓子の材料 part2 和三盆

 

和菓子でよく使われる砂糖の一つに、主に香川県や徳島県などの四国東部で古くから生産されている「和三盆」があります。香川県で生産される和三盆は「讃岐和三盆糖」、徳島で生産される和三盆は「阿波和三盆糖」と、それぞれ呼ばれています。これらは他の砂糖に比べ、独特のまろやかな風味が特徴です。

名前の由来は諸説ありますが、製造過程で砂糖を盆の上で三度研ぐから、と言われています。しかし現代では砂糖の白さを求め、研ぐ回数を五回ほどまで増やすことが多いようです。

 

●和三盆の歴史

日本での本格的な砂糖作りは江戸時代から始まりました。当初、原料となるサトウキビの栽培は西南諸島に限られていましたが、江戸幕府八代将軍、徳川吉宗が製糖を奨励したことから、やがて全国に広まりました。

高松藩と徳島藩でもサトウキビの栽培が行われるようになり、1800年代には製糖方法も確立されました。こうして作られるようなった和三盆は、藩の特産品として諸国各地へと売り出されることになったのです。

 

●材料について

和三盆の原料となるサトウキビには竹糖(たけとう・ちくとう)が用いられます。白砂糖や黒砂糖の原料となるサトウキビとは異なる栽培種で、低木で茎が細いのが特徴です。収穫量が少なく、大変稀少なものです。

 

●製法について

和三盆の製造は非常に手間がかかります。まず、収穫した竹糖の茎から汁を搾り、石灰で中和します。さらにそれを精製・濾過し、結晶化させます。これを盆の上で適量の水を加えて練り上げ、砂糖の粒子を細かくする「研ぎ」作業を行います。さらに、研いだ砂糖を麻の布に詰め、押し舟という箱の中に入れて重石をかけて圧搾します。こうすることで黒い糖蜜が抜け、徐々に白っぽい色になります。この作業を数度繰り返した後、一週間ほど乾燥して完成させます。

 

●特徴と使用例

粉砂糖のようなきめ細かさ、くどさのない上品な甘み・後味の良さ・ほのかに色がかった柔らかな白色…このような特徴を持つ和三盆は、和菓子の世界では高級甘味料として使用されます。
また、口溶けと風味の良さを生かし、和三盆そのものを固めただけのシンプルなお菓子があります。これは、和三盆が素材としていかに良質かを良く表しています。落雁と似た製法による打ちもの・球状に押し固めて二つ一組を和紙に包んでひねって羽状にしたもの・懐紙に包んで懐に入れて持ち歩けるもの…などいろいろありますが、いずれも干菓子を代表するものです。
その他、最近では和風のロールケーキやプリンなど、洋菓子の分野でも幅広く使われています。

 

その希少性と、手間と時間をかけて作られる工程から、かつては貴重品として扱われてきた和三盆ですが、近年ではその良さが見直され、身近なお菓子の中に使われることも多くなりました。みなさんも和三盆の美味しさに着目し、お菓子選びを楽しんではいかがでしょうか?

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