- 金井 高志
- フランテック法律事務所
- 弁護士
対象:企業法務
- 尾上 雅典
- (行政書士)
- 河野 英仁
- (弁理士)
コンプライアンスとCSRの関係については、さまざまな議論がありますが、2010年11月に発行されたISO26000(社会的責任のガイダンス)に関する一橋大学大学院の松本教授の解説記事に、ISO26000の内容との関係で、きわめて重要な指摘がありました。
まず、コンプライアンスの意義としては、
最狭義:法律の要求に応えること
狭義:企業の倫理や社会の倫理に応えることや、形式的には違法ではないが、法律の背景にある考え方に反した脱法行為を行わないことも含まれる
広義:企業みずからが決めたこと、すなわち、特別に法律が義務付けているわけではなく、また、倫理的に問題があるわけではないけれども、積極的にあることをやると決めて対外的に宣言したことを実行すること(セルフ・コンプライアンス)が含まれる
となるとされています。
そして、(1)法律、(2)企業の倫理や社会の倫理、および(3)セルフ・コンプライアンスを含む「広義のコンプライアンス」がCSRとほぼ同義となるとされています。
いままで、コンプライアンスとCSRは別ものであるとされることも多かったのですが、ISO26000が発行されたことで、この二つの概念の関係が一応整理されたといえると思われます。
(松本恒雄「企業経営にどう活かす? 11月1日発行!ISO26000(社会的責任のガイダンス)」ビジネス法務2011年1月号90頁以下)
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