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米国特許判例紹介:KSR最高裁判決後の自明性判断基準(第9回)
~2010KSRガイドライン~
河野特許事務所 2011年1月7日 執筆者:弁理士 河野 英仁
4.第2基準 「公知要素の置換」基準
(1)判断基準
2007年KSRガイドラインにて説明されたとおり、「公知要素の置換により自明」とする論拠は、当業者が技術的に置換可能であり、かつ、得られる効果が予期できる場合に適用される(MPEP § 2143(B))。
(2)In re ICON事件[1]
(i)判決骨子:異なる傾注分野における先行技術を自明と判断するための引例として利用できるか否かを決定する場合、解決すべき課題を考慮しなければならない。
(ii)背景
(a)事件の経緯
Icon(以下、原告)は折り畳み式踏み台を備えるトレッドミルに関するU.S. Patent No. 5,676,642(642特許)を所有している。642特許は1997年10月に成立したが、Board of Patent Appeals and Interferences(以下、審判部)による再審査が行われた。
問題となったのはクレーム1の最後の構成要件、
「踏み台と直立構造体との間に接続され、前記第2の位置にて前記踏み台を安定して保持すべくアシストするガスバネ」である。
再審査において、審判部は、Damark International Incの広告及びU.S. Patent No, 4,370,766(Teague)を根拠に自明であると判断した。Damarkは折りたたみ式トレッドミルの広告である。Damarkは最後の構成要件ガスバネ以外を開示している。一方、Teagueはガスバネを開示している。これにより審判部はDamarkとTeagueとの組み合わせにより自明であると判断した。原告はこれを不服としてCAFCに控訴した。
(b)642特許の内容
642特許は参考図14及び参考図15に示す如く、踏み台12を直立構造体14方向へ回転させることにより、参考図15に示す第2の位置まで折りたたむことができるトレッドミルである。
参考図14 642特許のFIG.1 参考図15 第2の位置を示す図
参考図16 642特許のFIG.12
クレームに示すガスバネは参考図16に示す符号505である。争点となる構成要件に符号を付すと、
「踏み台12と直立構造体14との間に接続され、前記第2の位置(FIG.2)にて前記踏み台12を安定して保持すべくアシストするガスバネ505」となる。
[1] In re ICON Health & Fitness, Inc., 496 F.3d 1374, 1382 (Fed. Cir. 2007)
(第10回へ続く)
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