米国特許法改正規則ガイド 第10回 (第5回) - 特許・商標・著作権全般 - 専門家プロファイル

河野 英仁
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米国特許法改正規則ガイド 第10回 (第5回)

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米国特許法改正規則ガイド

第10回 (第5回)

先願主義に関する規則及びガイドラインの解説

河野特許事務所 2013年4月22日 執筆者:弁理士  河野 英仁

 

 

(iv)他人の先願前の公衆開示 102条(b)(2)(B)

 

 開示された主題が、そのような主題が有効に102条(a)(2)(拡大先願の地位)の規定に基づき出願される前に、発明者若しくは共同発明者、又は直接的若しくは間接的に発明者若しくは共同発明者により開示された主題を得た他人により公衆に開示された場合、102条(a)(2)にいう先行技術に該当しない。すなわち、参考図5に示すように、他人の先願の前に、後願の発明者が公衆に発明を開示していた場合、後に先願が公開されたとしても拡大先願の地位を有さず、後願は新規性を喪失しない。

 

 

 

 

参考図5

 

 

 

 この場合も、規則1.130(a)(2)に規定する宣誓書または宣言書を提出すればよい。宣誓書または宣言書においては、先願の有効出願日前に発明者または共同発明者が公衆に開示していたことを示す必要がある。

 

 

 

 先の発明者による開示と中間出願における開示の方法、及び、同一性についての取り扱いは、米国特許法第102条(b)(1)(B)において述べたものと同様である。すなわち、開示の方法は別であっても良く、また完全な同一性は要求されない。また発明者の公衆開示が上位概念、先願が下位概念である場合、新規性喪失の例外適用を受けることができない。

 

 

 

 このように、グレースピリオドが1年と長いものの、公表後は速やかに出願しないと第3者の出願(中間出願)により新規性喪失の例外適用を受けることができなくなってしまう可能性がある。

 

 

 

 急な製品発表、論文発表によりやむを得ず日本にて新規性喪失の例外適用を受けざるを得ない場合がある。この場合、参考図6に示すようにまずは、できるだけ速やかに日本国特許庁に新規性喪失の例外適用出願を行う。

 

 

 

 そして日本出願日から1年以内に米国へパリ条約に基づく優先権主張出願を行う。こうすれば、日本出願日が有効出願日となり、日本出願日から米国出願日までに第三者が中間開示または中間出願をおこなっても新規性を否定されない。日本公表日から日本出願日までに、公衆開示発明と内容が異なる中間開示または中間出願があった場合、米国特許法第102条(a)(1)または(2)の先行技術となり新規性が否定される可能性が高まる。従って公表した場合は、速やかに有効出願日を確保すべく日本出願を行った方が良い。

 

  

 

参考図6

 

 

 

 また、日本では日本国改正特許法第30条により新規性喪失の例外適用条件が拡大されたが(特許権者の行為に起因する公表をも含む)、欧州では国際博覧会での発表に限定され(欧州特許条約第55条)、中国では中国政府が主催の国際博覧会への出展等に限定されている(中国専利法第24条)。すなわち、製品販売等により公知としてしまった場合、日本及び米国では新規性喪失の例外適用を受けることができるが、中国及び欧州等の諸外国では、特許を受けることができなくなってしまう。中国及び欧州等の諸外国でも権利化を希望する場合は、発表前に米国にて緊急の仮出願を行うほか無い。

 

 

 

 以上のとおり、新規性喪失の例外は、あくまで例外中の例外であり、「公表前に出願を完了させておく」という原則を徹底すべきである。

 

 

 

 

米国

日本(改正後)

欧州

中国

時期

1年

6ヶ月

6ヶ月

6ヶ月

条件

公衆への開示

(1)意に反する公表

(2)特許を受ける権利を有する者の行為に起因して公表

(1)出願人又はその法律上の前権利者に対する明らかな濫用(意に反する公表)

(2)国際博覧会に発明を展示したこと

(1)中国政府が主催または承認した国際展覧会において初めて出展したもの
(2)指定された学術会議または技術会議で初めて発表したもの
(3)他人が出願人の同意を得ずにその内容を漏らしたもの

 

 

 

 また、改正米国特許法第102(b)(1)(A),102(b)(1)(B),102(b)(2)(A)及び102(b)(2)(B)には、直接的若しくは間接的に発明者若しくは共同発明者により開示された主題を得た他人により公衆に開示と規定されている。

 

 

 

 出願人は、他人が、直接的若しくは間接的に発明者若しくは共同発明者により開示された主題を得たということを、規則1.130(a)または(b)に基づく宣誓書または宣言書において示すことができる。

 

 

 

 この場合、出願人は、開示された主題が発明者または共同発明者に起因し、かつ、当該主題が発明者または共同発明者から直接的または間接的に伝達されたことを証明する必要がある。

 

 

 

 ただし、米国特許法第112(a)(記載要件)に規定する実施可能要件を満たすレベルまでの伝達は必要とされない。すなわち、規則1.130(a)または(b)に基づく宣誓書または宣言書は、発明者若しくは共同発明者、または、発明者または共同発明者から直接的または間接的に主題を得た他人が、主題を米国特許法第112(a)の意味での「実施できるように」開示していることを証明する必要は無い。単に規則1.130の条文どおりの要件を満たせばよい。

 

 

(第6回へ続く)

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