米国特許判例紹介 (第1回) - 特許・商標・著作権全般 - 専門家プロファイル

河野 英仁
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米国特許判例紹介 (第1回)

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米国特許判例紹介  (第1回)

アップル・サムスンのスマートフォン特許訴訟

~ソフトウェア特許の文言解釈~

河野特許事務所 2012年12月27日 執筆者:弁理士  河野 英仁

 

                         Apple Inc.,

                                   Plaintiff-Appellee,

                         v.

               Samsung Electronics Co., Ltd., et al.,

                                 Defendants- Appellants.

 

1.概要

 世界各国で繰り広げられているアップル・サムスンの特許訴訟の一つである。本事件はサムスンが販売するGalaxy Nexusスマートフォンがアップルの特許権を侵害するとして提訴したものである。

 

 地裁は、特許権侵害を認め、差し止めを認める判決をなした。これに対し、CAFCはGalaxy Nexusスマートフォンがアップルの技術的範囲に属さないとして、差し止めを無効とする判決をなした。

 

 

2.背景

(1)特許の内容

 Apple(原告)は情報検索装置と称するU.S. Patent No.8,086,604(以下、604特許という)を所有している。604特許は、複数のデータ記憶領域を検索するための発見的モジュールを使用する統合検索装置に関する。参考図1は604特許の概要を示すブロック図である。

 

 

参考図1 604特許の概要を示すブロック図

 

 統合検索を行う場合、キーボード5等の単一のインターフェースを介して入力を行う。統合検索装置は検索要求が入力された場合、複数のデータ記憶領域にアクセスし、検索を行う。例えば、単一の検索要求入力により、装置のローカルメモリとインターネットとを同時に検索する。

 

(2)訴訟の経緯

 サムスン(被告)はGalaxy Nexus(参考図2参照[1])と称するスマートフォン(以下、イ号製品)を販売している。被告のイ号製品には、Quick Search Box (以下、QSB)と称するソフトウェアがインストールされている。QSBはGoogleにより開発されたオープンソースモバイルソフトウェアプラットフォームであるアンドロイドの一機能である。

 

 

 参考図2  Galaxy Nexus

 

 ソフトウェア開発者は携帯端末用アプリケーションを作成するためにアンドロイドを使用することができ、端末製造業者は装置にアンドロイドをインストールすることができる。被告イ号製品は300以上あるアンドロイドスマートフォンの内の一つにすぎない。

 

 原告は2012年2月イ号製品の差し止めを求め、被告を提訴した。なお、Googleは本訴訟における被告ではない。地裁はイ号製品が604特許を侵害するとして、イ号製品の差し止めを認める判決をなした。被告はこれを不服として控訴した。

 



[1] Samsung社HPより2012年11月26日http://www.samsung.com/us/mobile/cell-phones/SPH-L700ZKASPR

(第2回へ続く)

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