鳩山代表の消費税4年間議論停止発言はどうにも・・・ - 会計・経理全般 - 専門家プロファイル

平 仁
ABC税理士法人 税理士
東京都
税理士
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鳩山代表の消費税4年間議論停止発言はどうにも・・・

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政治の話
鳩山由紀夫氏が民主党の新しい代表に返り咲いた。
ただ、代表を退いたはずの小沢氏が選挙担当の副代表に就任し、他の
ポストもほぼ留任するという看板のすげ替えで、福田前首相が政権を
引き継いだ時の状況と非常に近しい状況であることに若干の不安が…

厳しい船出であるが、その政策課題も難題が山積である。
17日8時5分産経新聞記事が鳩山民主党の課題をよく整理している。
その中から消費税問題と公務員改革についての言及を紹介しよう。


■消費税
鳩山氏は消費税問題について、「4年間は議論する必要がない」と主張
していることから、同党は、マニフェストで盛り込む予定の「子ども手当」
などの財源問題で、政府・与党の攻撃にさらされそうだ。
岡田克也副代表は税率引き上げに前向きなため、執行部入りした場合には、
消費税をめぐり、執行部の温度差が増幅する可能性もある。
鳩山氏自身、財源問題の難しさは自覚しており、代表選後の記者会見では
「政権を取ったとき、財源問題がシビアに待ち受けている。自民党政権が
あまりにも無駄遣い、官僚任せの政治の中で予算をデタラメに使いすぎ、
それをただすには時間がかかる」と、予防線を張っている。
ただ、岡田氏が年金制度改革のため、消費税率引き上げをセットで議論する
考えを示し続けていたのに対し、鳩山氏は議論自体を避けようとした。
投票前の討論会でも「経済が疲弊している中で、消費税の議論は必要ない」
と強調した。
行政の無駄遣いの排除で増大する社会保障財源を捻出する鳩山氏の考え方に
対し、政府・与党内には「おとぎ話」(与謝野馨財務・経済財政・金融担当相)
との批判が根強い。
麻生太郎首相との党首討論や党内論議で鳩山氏が苦慮する事態もありそうだ。

■公務員改革
民主党が昨秋、取りまとめた「政策INDEX2008」では、公務員制度改革
に関し、「国家公務員総人件費を3年間で2割以上削減する」方針を明記
しているが、地方公務員には触れていない。
同党は、日本労働組合総連合会(連合)を有力支援団体とし、地方公務員ら
で構成する自治労の影響力は大きい。
鳩山氏は16日の両院議員総会で、地方分権の推進過程で「地方公務員も
大丈夫だ」と明言した。
党内で分権論議が本格化すると、連合との関係に亀裂が入る可能性がある。




昨日はVoice誌での批判記事を紹介したが、今日は産経新聞の懸念記事。
民主党支持者には、ケンカ売ってるのか、といわれそうですが、致し方ない。
政権交代を本気で実現したいのであれば、結果的に国民負担を先送りする
ことは、税の専門家の視点からは許されないと信じるからだ。

民主党はこれまで民主党の経済政策のために必要な財源は行革によって
無駄遣いを減らし、まだ使われていない埋蔵金を吐き出すことによって
賄うと主張してきた。
しかし、埋蔵金が本当に使える状況にするためには、それ相応の準備が
必要なわけですし、無駄遣いの是正は官僚からの抵抗は計り知れない。
そういう意味では、時間がかかる問題である。

ところが、民主党は赤字国債の発行にも、近い将来の消費税率の引き上げにも
その他の増税策にも、否定的な見解を示している。
特に消費税については、今回の代表戦でも岡田氏が消費税論議を検討する一方、
鳩山氏は消費税への言及を避け続けていた。

確かに経済停滞時の今、消費税率アップを検討する時期ではないのかも
しれないが、国家100年の計を常に考え、世代間の負担が偏らないように
考慮しなければならないのが、責任政党の政治家の責務であろう。

そうでなければ、政権を預けて財政が破綻した場合には、次の世代が苦労する。

私は、自分の子どもに、我々の時代の負担を肩代わりさせることを選択
させられる可能性は否定できないのである。

学生にありがとうと話していることをここでも何度か書いているが、
ベビーブーマー世代を扶養することを、少子化の時代の子どもたちは既に
要求されているわけですから、ただでさえ負担が大きい子供たちに対して、
税負担、社会保障負担さえ肩代わりさせてしまうことを、親は望むのでしょうか。

鳩山氏には、消費税を上げないというのであれば、行政改革に時間が
かかり過ぎた場合でも、財政が破綻しない、負担の先送りにしない根拠を
我々懸念を表明する層にも、根拠を持って示して欲しいものです。

行政改革をドラスティックに断行しなければならないことは当然のことでしょう。
しかし、旧来の政権が結果として問題を先送りし続け、とうとう限界まで
来てしまったわけですが、それもこのタイミングで世界的な経済不況が
襲ってきたのですから、まずは財源のあるなしにかかわらず経済対策を
すべきですね。
ただ、不況のために税収が減っているわけですから、その財源は当面、
赤字国債になることは当然です。
だからこそ、与謝野氏は標榜する緊縮財政を棚上げしてまで財政均衡を先送り
する決断をするわけですよね。
それが麻生政権の方向性になっているわけです。

鳩山民主党に求められるのは、麻生政権とは違う形での説得力ある政策です。

反対のための反対では、いつまでも政権担当能力を疑われ続けるだけです。

嫌がられるテーマであっても常に正面から取り組んでいかないと、反対派が
期待も信頼も見せないですよ。

岡田氏を幹事長に起用したというのも、挙党体制の確立という視点から
でしょうが、ぜひ消費税論争を含めて、自民党と真剣な政策論議を闘って
政権担当能力があることを存分に示していただきたいものである。