工藤公康「現役力」PHP新書 - 会計・経理全般 - 専門家プロファイル

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工藤公康「現役力」PHP新書

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雑感 書評
人様を指導するということは実に難しいことです。
税理士という職業柄、私の場合には大学講師という肩書きもありますから、
必然的に指導する立場におかれているわけですが、実に難しい職業です。

そんな中、指導者として忘れてはならないことを指摘してくれた本に
出会いました。

工藤公康「現役力」PHP新書(2009年3月)

45歳の現在でもまだ現役のピッチャーとして投げ続けている
横浜ベイスターズの工藤投手が書いたこの本には、指導者の立場に立つ
者にとって、素晴らしい示唆を与えてくれる本だと思います。

芽が出ずに燻っている者にも勇気を与えてくれる本でもあると思います。

厳しくも温かい言葉には、プロフェッショナルの世界で長年生き残ってきた
プライドと、自分の後に続く者たちへのエールが込められているようだ。

「工藤さん、残念ですが、今シーズンでユニフォームを脱ぐことになりました」
「おっ、そうか。じゃあ今日は落ち込むだろうし、家に帰って好きなだけ泣け。
でも明日から、将来を見据えて、自分にはこれから何ができるか、どうしなきゃ
いけないか、しっかりと考えるんだぞ」
そう言うと、たいていはみんな「これからどうするんだ。大丈夫か?」などと
声をかけてくれると思いこんでいるものだから、一瞬きょとんとした顔をする。
「この人は俺がクビになって落ち込んでいるというのに、なんてことを
言い出すんだ」という心の声が、ありありと表情に浮かんでいるんですね。
でも、そういう人たちは、それだけのことしかやっていない。
自分に甘えているから、他人に対しても甘えた言葉を要求する。
「俺は一生懸命にやったけど、運が悪くてダメだったんだ」
「なんて自分はかわいそうな人間だ」
「俺が悪いんじゃない。まわりが悪いんだ」
そんなアピールがみえみえなんです。
そういう甘えは、プロの世界では通用しないと思うのです。後輩たちには
一年でも長くやってもらいたい。だから、やるべきことをやっていない
人間に対しては、心を鬼にして徹底して冷たくあしらいます。
志半ばでプロ野球を諦めた人は、「コーチにつぶされた」とよく口にしますが、
他人につぶされたんじゃない。自分で勝手につぶれただけだと思うのです。
(91〜92ページ)

この指摘について、工藤投手の後輩へのアドバイスにも共通することがある。

ぼくのアドバイスは、こういう感じで、正解はあげません。
答えは自分で見つけ出すものだからです。山口君の場合、すでに1度、
答えにたどりついているはず。それが実践できないのは、まだほんとうの
意味で身になっていない証拠です。だから、自分で思い出すように、
頭で考えさせるように導いていく。
答えまで出したら、その場だけの対処療法に終わってしまい、いつかまた
同じ失敗をくりかえしてしまうものだからです。
でも、みんな求めるものは答えばかり。「どうすればよくなるか」という
正解ばかりを聞いてくる。
「何を、どれくらい、どうやればいいんですか?」
「どうすれば身体が強くなりますか?」
「球が速くなるには何をするのが近道ですか?」
「ぼくはこういうふうに考えるのですが、どう思われますか?」
ではないんですね。考えた形跡がまったくない。
「どうも自分には、こういう部分が足りないと思うのですが」と聞かれたら、
「じゃあ、それを解決するには、こういう方法があるね」とアドバイスも
できるというものですが、「どうすればよくなりますか?」では、その人間が
現状をどれほど認識して、何を問題視しているのか、まったく伝わってこない。
おそらく、自己認識がまったくできていないんです。
そんな状態のままでいたら・・・想像するだけで心配に思えてなりません。
(131〜132ページ)


自分には何ができて何が足りないのかを把握できてプロとしてやっていける
ということではないだろうか。

できないことや足りないことがあるから人間は成長できるわけですし、
何でも最初からできれば、人間じゃありませんね。
工藤投手の指摘はまさに的を射たものであろう。


そして、本書で衝撃を受けた件が以下の文章である。

決まった方法でないと目的が達成できないと思うから、だれかにその方法を
教わらないと何もできないし、仮に方法を教えてもらっても、考えて、
工夫して、それを自分にとってよりよいもの改良しようという発想が起きない。
「だって教えてもらってないし・・・」
「このやり方は自分に合わないし・・・」
子どものころに考える訓練をしてこなかった若い選手は、必ずこういう
言い訳をします。言われたことしかやってこなかったからです。
発想がこうなってしまうと、大人になってから「考えろ」と言われても、
もう考えられないんです。考えない習慣ができあがってしまっているんですね。
世代的なものもあるのでしょうが、要は、子どものころの体験の差なんだと
思うんです。
「今日、俺が教えたことに対して、練習を五つ考えてこい。なんでもかまわない。
五つ考えついたら俺に言いにこい」
こんな課題を若い選手たちに出したことがありますが、だれ一人として
答えをもってきた人間はいませんでした。ぼくが言っていること自体を
そもそも理解できなかったのではないかと思います。
小学、中学、高校と、先生から「こうやってみろ、ああやってみろ」と言われて
成長し、プロの世界に入ってこられたのは、たまたま素質があったり、
その先生の方法が合っていたからにすぎません。
そのまま自分で考えずに、ずっと生き残っていけるほど、プロ野球は甘くない。
いえ、どんな世界だって、そんなことでは真のプロフェッショナルには
なれません。
そのそも、人生がつまらない。
大切なのは、過程も解答も、自分でつくっていくものなのだから、心の中に
いつもクエスチョンを絶やさないことです。
でも、残念ながら日本の教育現場では、いまだに「これをやりなさい」が
主流なんですね。「1+1=2」の指導法。マンツーマンで、一生、つきっきりで
見てもらえるのだったら、これでもまだいいのでしょうが、そんな贅沢な
環境は望むべくもありません。
たしかに、人に教えるのは難しいことです。
これでいいのかと、いつも迷います。
教え方しだいで、その子の人生が決まってしまうかもしれない――
そう思うと、自信が揺らぎます。
でも、大人が迷っていると、子どもに伝わります。おどおどした態度、
キョロキョロした視線を、子どもは敏感に感じ取ります。
教える側がしっかりしたポリシー、考え方をもつことです。教える側が
勉強を怠らないことです。
大人もつねにクエスチョンを絶やさないことです。
(170〜172ページ)




何かと指導的な立場に立つ機会の多いプロフェッショナルの士業の皆様には
耳の痛い話かもしれません。

しかし、指導する立場の人間こそ、「ナゼ?」を大事にしていないと、
コトの本質を見誤ることになりかねません。

プロフェッショナルを全うするためにも、自己研鑽を絶やさないことです。

税理士会では研修努力義務規定を罰則のある強制規定に変更すべきだという
声もあるという。
しかし、自己研鑽を怠ればプロフェッショナルのレベルを維持できるものでは
ないだけに、努力義務で十分なはずではないのか。

強制しなければならないレベルの方がいらっしゃること自体が業界の恥である。

工藤投手の本に接し、改めて、自己の襟を正し、プロフェッショナルとしての
誇りに恥じない生き方をしなければならないと考え直したところです。

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