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「草魂」

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雑感 書評
「草魂」というと往年の大エース、近鉄バッファローズの鈴木啓示投手を
思い出すところですが、今日は、ある税理士の半生を描いた本を紹介します。

野川伯「草魂―満州還りのど根性税理士―」幻冬社ルネッサンス2009年3月


法政会計人会の大先輩でもある野川先生の自叙伝です。

帯にはこう評されている。

踏まれても踏まれても、希望を捨てなかった。

幼少の頃に患った脊椎カリエスによるハンディキャップを抱えながらも
戦中、戦後の満州を生き抜き、帰国後も幾多の困難を乗り越えてきた筆者。
不断の努力で税理士となり、
夢を叶え続けてきた男の愛と希望に満ちた半生記。


本書を読んでみると、野川先生の明るさの秘密が垣間見える。
修羅場を潜り抜けてきた者の強みというか、何か普通の人ではないなという
凄みのようなものを感じていたのですが、満州での体験が、野川先生の
自信の根幹にあるんだなあと改めて感じました。

野川先生は、はじめにの中で、
「私たちが戦争の真っただ中、生きた満州はもはや非在である。
戦争が残した傷跡、日本の罪、それを鑑みても、これほど切実に郷愁と
哀愁を感じさせる土地はなく、満州に咲くアカシアの甘く芳しい香りが
記憶の端から蘇ってやまない。
できることなら、戦争という歴史に糊塗されてしまった日本人家族の姿を
知ってもらいたいと思う。」(3ページ)
と書かれているが、
野川先生にとって、本書の約半分を占める満州での生活は、
厳しくも楽しい青春時代だったのでしょう。
当時の生活が生き生きと描かれている。

最後の第6章「税理士を目指して」では、苦労して税理士になった者が
体験したくない生々しいエピソードも紹介されている。

ある日親父が、こんなことをぼやいた。
「おい伯、お前は一体いつになったら税理士試験に受かるつもりなのだ、
俺はもう65歳だぞ・・・いいか、よく聞けよ。
俺が死んだ後に、お前が俺の墓に『親父、やっと合格しました』と
報告に来たって、俺はちっとも嬉しくないからな・・・」
この言葉を聞いたとき、私は一瞬ギクッとした。
なるほど、そりゃそうだ。
この言葉を聞いた瞬間、グッと心が引き締まった。
その後何年経ってもこの親父の言葉は、忘れることができない。
この言葉が励みになったという芝居がかったことを言うつもりはない。
だが、この後、親父と協力しつつ、百人町に家と工場の2階建てを
建設したのだから、親父も喜んでくれただろう。(223ページ)


野川先生の場合には、生きている間に親孝行ができたケースですが、
私の場合には、まさに野川先生のお父さんが危惧したとおりでした。
私は合格通知を今は亡き母とともに父の墓前に捧げました。
今の2足の草鞋という生き方も、私の夢を応援してくれた
親父との約束事の1つですから、意地でも全うしたいですね。


さて、本書は、野川先生のエピソードをハッピーエンドとして締めくくる
最高の親孝行の場面で結末とする。

父が80歳になったときに、私は税理士仲間と共同して、西新宿7丁目に
税理士ビルを完成させた。
痛い膝をさすりながら、父が見に来てくれた姿を昨日のことのように思い出す。
満州から丸裸になって引き揚げてきた親子が、苦労を味わった末に交わした笑顔。
何よりも嬉しかった。
その後間もなく、父は81歳でこの世を去った。(268ページ)


野川先生の波乱万丈の前半生が生き生きと描かれた本書は、戦争を知らない
我々の世代には、戦争の悲惨さを物語るだけではなく、そこには生々しい
生活があったことを教えてくれるものであるとともに、いつでも創意工夫で
困難に立ち向かってきた先生の生き様から、生きる勇気をもらえるものでした。

特に、野川先生は、身体的なハンディキャップをお持ちなだけに、
持ち前の明るさと勇気で乗り越えてきた先生には生命力というか、
強さを感じる。

覇気の無い若者が増えてきたこの時代だからこそ、野川先生の体験記は
貴重なものになっているような気がする。

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