日経記事;『Amazon、処方薬ネット販売に参入 中小薬局と患者仲介』に関する考察 - 各種の新規事業・事業拡大 - 専門家プロファイル

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日経記事;『Amazon、処方薬ネット販売に参入 中小薬局と患者仲介』に関する考察

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皆様、

こんにちは。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。

 

9月5日付の日経新聞に、『Amazon、処方薬ネット販売に参入 中小薬局と患者仲介』のタイトルで記事が掲載されました。

 

本日は、この記事に関して考えを述べます。

本記事の冒頭部分は、以下の通りです。

『米アマゾン・ドット・コムが日本で処方薬販売への参入を検討していることが分かった。中小薬局と組み、患者がオンラインで服薬指導を受ける新たなプラットフォームをつくる方向だ。利用者は薬局に立ち寄らずに薬の配送までネットで完結できる。店頭販売を重視する日本の調剤薬局ビジネスの転換点となる。。。』

 

本日の記事にありますように、米アマゾン・ドット・コムが日本で処方薬のインターネット通販事業に参入することについて、現時点では、米アマゾン・ドット・コムは公式に発表していません。

 

米アマゾン・ドット・コムは、2020年11月17日から、米国内で処方薬のオンライン薬局「Amazon Pharmacy」の事業を開始しました。

 

米アマゾンの社是として、インターネット通販で扱える商材に制限はなく、すべての商材をインターネット通販の対象とする考え方があります。

 

米アマゾンは、顧客ファーストの視点で顧客の利便性を高めるために、できることはすべて実行する動き方をしてきました。

 

米アマゾンが、オンライン薬局「Amazon Pharmacy」が、日本を含む米国以外の国で実施することは、極めて合理的です。

 

日本の過去20年間の国内の事業環境を見返すと、アマゾン、アップル、グーグル、マイクロソフトなどの米大手IT企業は、既存事業基盤を急速に破壊・再構築して、自社に有利なプラットフォームを構築してきました。

 

これらの米大手IT企業は、言わば現代の黒船来航になります。

 

日本のデジタル活用は、米欧に比べると格段に遅れています。特に、新型コロナウイルスの影響拡大下で如実になった、国内の医療・薬局の非効率さは、際立っています。

 

このような状況になった理由は、保守的な厚生労働省の動きの鈍さ、既存権益の維持拡大を最優先する多くの病院や診療所、調剤薬局の存在があります。

 

最近、この強固な岩盤に少しずつではありますが、徐々にデジタル活用の動きが加速してきました。

 

例えば、2022年からオンライン診療が恒常的にできるようになりました。さらに、初診料(情報通信機器を用いる場合)251点」は対面の場合の87%と引き上げられました。

施設基準の届出を行えば、「オンライン診療量の算定数を1割以下」「医療機関と患家との距離が概ね30分以内」といった条件は撤廃されました。

 

また、電子処方箋は、医療機関や薬局での運用が2023年1月から始まる計画になっています。この電子処方箋は、マイナンバーカードが健康保険証として使用されるのが条件になります。

 

このマイナンバーカードの2022年5月1日現在の普及率は、44%です。

https://media.xid.inc/my-number-card/penetration/#index_id1

 

マイナンバーカードは、将来、運転免許証としても活用される見込です。最近、デジタル庁の担当大臣である河野氏は、マイナンバーカードを普及させるには、国民の利便性向上が、最善の策であると述べています。

 

今後、この環境下マイナンバーカードの普及は、さらに進むと見ています。

 

一方、薬剤師による服薬指導のオンライン化は、2022年4月に恒久化されました。

 

このように、一歩ずつではありますが、医療現場や調剤薬局のデジタル活用が進んでいます。

 

米アマゾンは、このような日本の医療や調剤薬局の最新状況を確認しながら、本記事で書かれていますように、近々に、日本でオンライン薬局「Amazon Pharmacy」を開設する可能性があります。

 

電子処方箋を発行できる病院や診療所でオンライン診療、または対面診療を受けられる患者は、この処方箋を活用して、アマゾンのオンラインサイト上で調剤薬局に申込みます。その後、アマゾンから当該薬が届けられます。

 

現在、薬の送付には、当然のごとく、配送料がかかります。本日の記事によると、即日配送で300円程度かかるとのことです。

 

アマゾンプライム会員なら、この配送料がもっと安くなる可能性があります。

 

電子処方箋が普及すると、その利便性により多くの人がアマゾンによる薬のオンライン販売サービスを利用する可能性が高くなります。

 

このような状況下では、調剤薬局の淘汰が起きます。薬のオンライン販売に対応できる調剤薬局は、店舗の場所に関係なく、全国から薬の注文を受けられるようになります。

 

もし、過疎化が進む地域で、電子処方箋を扱う病院や診療所があり、患者がそれを利用すれば、薬のオンライン販売活用により、薬の遠隔配送ができます。

 

一方、薬のオンライン販売に対応しない調剤薬局は、電子処方箋を利用しない人が多い地域にしっかりと根を下ろして、地元密着のやり方で差別化・差異化を実現する努力を行うようになります。

 

何の経営努力を行わない調剤薬局は、薬の市場から撤退させられる可能性があります。このような調剤薬局間の競争が発生すると、より良いサービスや利便性を患者に提供できる薬局が勝ち残ります。

 

上記視点から、今後のアマゾンのオンライン薬局「Amazon Pharmacy」の開設の動きに注目していきます。

 

よろしくお願いいたします。

 

グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁

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